観光列車に頼りすぎた? 赤字深刻のJR木次線どうなる 観光客で盛況も「足」にはならず

JR西日本が公表した情報開示の中で、観光列車「奥出雲おろち号」が走る木次線の営業成績の低迷が顕著です。現時点でも地域移動のほとんどの役目をバスが担っているなど、厳しい状況が伺えます。

「奥出雲おろち号」が人気の木次線、岐路に立たされた現在

 島根県の宍道湖沿いから奥出雲へ分け入るローカル線・JR木次線は、その眺めの良さから、1998(平成10)年に運行を開始した観光列車「奥出雲おろち号」が人気を博しています。出雲坂根駅~三井野原間のスイッチバックで約100mの高低差をクリアする際の眺望が素晴らしく、運行日が限られているにもかかわらず年間利用者は約1万人強。コロナ禍で半数以下に落ち込んでも2021年には1万人台を回復するなど、「何度も訪れるリピーターが多い」という人気の根強さが伺えます。

 しかし、2022年4月にJR西日本から公表された資料「ローカル線に関する課題認識と情報開示について」では、木次線の営業成績の厳しさが浮き彫りとなりました。なかでも広島県境の山脈を越える出雲横田~備後落合間の営業係数(100円の収益にかかる費用)は6596、収支率は1.4%と、公表された30線区のうちワースト2位。山陰本線と接続する宍道~出雲横田間は幾分良いものの、営業係数1323、収支率7.6%と、こちらも危機感を抱かざるを得ない状況です(数値はいずれも2017~2019年。コロナ後はより悪化している)。

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備後落合駅に到着した奥出雲おろち号。区間によってはチケットが取れないほどの取れないほどの人気を博す(宮武和多哉撮影)。

 JR西日本では今回の情報開示で、輸送密度(1kmあたりの1日の輸送人員)が2000人を下回る30線区について、「上下分離」(自治体などが資産を買い取り、鉄道会社は運行だけを担う)やバス路線への転換などを話し合う意向を示しています。木次線もその中に含まれ、沿線地域である松江市、雲南市、奥出雲町、広島県庄原市も、今後の公共交通計画について方針の策定などを迫られています。

 かつて広島~松江間の夜行急行「ちどり」が走り抜け、山陰・山陽地方を結ぶ「陰陽連絡線」としての役割を果たしてきた木次線ですが、この約30年間で乗客数が3分の1から10分の1にまで減少しています。その背景にあるのは、地域の過疎化だけではありません。

 並行する道路とバス路線で実際に移動してみても、すでに鉄道の役割の薄さが否めなくなっていることを感じさせます。

【木次線の地図&「盛況だけど大赤字」の現状 写真で見る】

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