観光列車に頼りすぎた? 赤字深刻のJR木次線どうなる 観光客で盛況も「足」にはならず

JR西日本が公表した情報開示の中で、観光列車「奥出雲おろち号」が走る木次線の営業成績の低迷が顕著です。現時点でも地域移動のほとんどの役目をバスが担っているなど、厳しい状況が伺えます。

通学利用は実質バス一択? 木次線と並行路線バス

 木次線の中でも営業成績が低迷している出雲横田~備後落合間のうち、島根県側の奥出雲町では鉄道と国道314号がほぼぴったりと並走しています。その道路上で運行されているバス路線(奥出雲交通 八川線)が、すでに地域輸送のメインの役割を果たしているのです。

 奥出雲町のほぼ南端にあたる三井野原地区から、旧・横田町の中心部である横田地区への移動で見てみましょう。木次線の出雲横田方面への始発は三井野原駅発が9時46分、帰りの出雲横田発の最終が15時52分発、途中駅は出雲坂根、八川の2駅のみです。学生の登校時間には運行がありません。

 かたやバスの始発便は三井野原駅前を7時34分に発車し、途中の停留所は20か所。横田地区では駅から離れた中学校や高校を経由しています。また木次線の途中駅2駅から数歩の場所に「出雲坂根駅前」「八川駅前」バス停があり、いずれも朝には3、4人の乗車が見られました。なお帰りの横田発のバスも鉄道線より2時間近く遅めに設定されており、学生の帰宅時間もカバーしています。

 所要時間も鉄道は40~60分ですが、バス30分少々です。かつて国道は、坂根地区から三井野原地区までの2kmで約100mという標高差がネックとなっていましたが、7つの橋と2つのトンネルからなる「奥出雲おろちループ」が1992(平成4)年に完成し、道路事情が一挙に改善されました。一方で鉄道は2か所のスイッチバックでゆっくりと標高差をクリアするため、どうしても所要時間がかかってしまうのです。

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出雲坂根駅前バス停。平日朝は3、4人の乗降がある(宮武和多哉撮影)。

 なお「奥出雲おろち号」は運行上のネックを逆手にとり、徐行制限をゆっくりと景色を眺める時間としたり、列車の交換(すれ違い)による長時間停車を物品販売の時間に当てたりと、魅力アップに最大限活かしています。

 また広島県側ではかつて、庄原市の中心部などへの通学のため、平日朝に油木~備後落合間の1区間のみの運転が行われていました。しかし現在ではこの便の運行はなく、西城交通のバス路線(油木線)がカバーしています。

 このほか横田地区から東隣の鳥取県日南町に通じる県道には、奥出雲交の阿比縁(あびれ)行きバスが運行され、日南町営バスに乗り継ぎ、さらに生山駅で特急「やくも」に乗り継ぐダイヤも設定されています。沿線から岡山・大阪に出る際、木次線で宍道や松江へ出ずに短絡できるルートとして、地元ではよく使われているのだとか。

 出雲横田~備後落合間は両県側とも、学生の通学に必要な時間にはバスの運行しかなく、鉄道は既に地域輸送の役目をほぼ果たしていないと言っていいでしょう。

【木次線の地図&「盛況だけど大赤字」の現状 写真で見る】

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