観光列車に頼りすぎた? 赤字深刻のJR木次線どうなる 観光客で盛況も「足」にはならず

JR西日本が公表した情報開示の中で、観光列車「奥出雲おろち号」が走る木次線の営業成績の低迷が顕著です。現時点でも地域移動のほとんどの役目をバスが担っているなど、厳しい状況が伺えます。

地域のメリット=鉄道会社のメリットとは限らない? 交通維持の役目は地元自治体へ

 木次線の沿線自治体は、これまで最大級の観光資源である「奥出雲おろち号」のために、物品販売や地域総出の熱烈な出迎えなどの協力を行ってきました。しかし、利用促進の施策は複数名で県内外から木次線を利用する際の移動費の助成など、その多くは観光客の呼び込みに重点を置いたものです。

 島根県雲南市、奥出雲町や広島県庄原市にとって、この列車は宿泊客・団体客を呼び込み、他の観光地に回遊させるための欠かせない手段でもあり、リピーターの中には“地域のファン”に変化し、ふるさと納税などでさらに支援をする人も少なくありません。しかしツアーバスからの乗り継ぎも多いこの列車は、必ずしもJR西日本にとってメリットが大きいものではなかったのではないでしょうか。

Large 20220425 01
青春18きっぷシーズン以外の出雲横田~備後落合間は、乗客も少なく、とても静か(宮武和多哉撮影)。

 同社は新型コロナウイルスの影響で2000億円以上の単年赤字に転落、早急に経営の見直しを迫られ、かつ「奥出雲おろち号」は以前からの話し合いで、車両老朽化のため2022年内での運行終了が決定しています。木次線の沿線自治体が今後どのような策をとっていくから現時点ではまだ不明ですが、今回の情報公開は地元の意思と関係なく、交通の担い手が鉄道会社(JR西日本)主導から自治体・地元主導に転換するきっかけとなるでしょう。

 たとえば奥出雲町では高齢化率(65歳以上の人口比)が近年4割を超え、交通事故・重大事故のすべてに高齢者が絡むなど、誰もが他人事ではない状況です。木次線が鉄道としての本来の役割を果たせなくなっているなか、バスやタクシーを維持するための対策も併せて求められています。

【了】

【木次線の地図&「盛況だけど大赤字」の現状 写真で見る】

Writer:

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス