ロシアの侵攻、自衛隊が教訓とすべき点は? 元陸自トップ語る 祖国を守るキーポイント

なぜロシアは短期決戦に失敗したのか

 また東部・南部地区の主要都市にはウクライナ軍主力の首都防備部隊を牽制するための攻撃を行っていますが、これが却ってロシア軍の兵力を分散させる結果となり、首都に対する攻撃の衝撃力を削いだのではと考えられます。

 南部地域は以前から戦闘が継続し、クリミア半島やルハンシク(ルガンスク)州、ドネツィク(ドネツク)州などは実効支配していることから後方の兵站支援も確保できる利点があるものの、ウクライナ軍のアゾフ連隊らの抵抗に遭い進展は遅かったです。

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陸上自衛隊OBの火箱芳文氏。東日本大震災の発災時に陸上幕僚長の要職に就いていた(柘植優介撮影)。

 ロシア軍とウクライナ軍の戦力を比較した場合、空軍および海軍戦力は圧倒的にロシア優位ですが、地上軍だけを見ると、20万人対10万人で約2倍の差しかなく圧倒的優位といえるほどではありません。一般的には、「攻撃三倍の法則」と言われるように、攻める方は守る方と比べ、少なくとも3倍以上の兵力を要すると言われています。そうなると、20万人の兵力では、人口約4000万人で日本の約2倍の面積を有するウクライナの全領域を短期に占領するのは不可能だと言えるでしょう。

 これはプーチン大統領やショイグ国防相,ゲラシモフ軍参謀総長らにとって大誤算であり、首都に斬首作戦を仕掛け、ウクライナ東部、南部の全方向から包囲すればゼレンスキー政権は白旗を掲げてウクライナを脱出し逃亡する可能性が大と判断したのでは思われます。

 従って、作戦に要する戦費、装備も兵站もこれほど長期になるとは思っておらず、せいぜい1週間か10日ほどで決着がつくと判断していたのではないでしょうか。

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コメント

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1件のコメント

  1. 日本も満州や外地では警察や軍人の家族はいち早く夜逃げして、軍隊が何もせず降参して置いてきぼりの在留邦人は侵略者(西ウクライナの懲罰部隊)や不満を持つ現地人等から略奪暴行をうけ、絶望した人々は自殺までした事実を忘れないように!
    私達母と従姉は一〇月二三日釜山から機帆船で広島県尾道に上陸三重県の母の実家にたどり着いたのは幸いでした。