ロシアの侵攻、自衛隊が教訓とすべき点は? 元陸自トップ語る 祖国を守るキーポイント

自衛隊が考慮すべき戦訓とは

――今回のウクライナ紛争が自衛隊に与える教訓などはありますか?

 今回のロシアによるウクライナ侵略が自衛隊に与える教訓は3つあります。

 ひとつは、侵略に対する最後の砦は、やはり地上部隊(陸軍)であるということでしょう。圧倒的に海・空戦力の優勢なロシア軍に対して、制空権・制海権を取られているなかでもロシア軍の侵攻を食い止めているのは、ウクライナの戦車、火砲の支援を受けた地上部隊および民間武装組織です。「国防」とは、地上部隊が生き残って戦い、陸戦に勝利すること。これにより初めて独立は保持できるということを認識すべきです。

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警察とともに国民保護訓練を行う陸上自衛隊部隊(画像:陸上自衛隊)。

 ふたつめは国民保護の重要性を改めて認識したという点です。侵略を受けたとき、子どもや女性、高齢者を避難させなければ多くの民間人が被害に遭います。そのとき、陸上自衛隊は最前線で戦いつつ、後方地域での国民保護にもあたらねばなりません。安全な地域に避難させ保護しなければ国民が命を失うことになりかねません。陸上自衛隊で国民保護に割ける人員は限られているため、定数ならびに実員の増加が必要であり、常日頃から自衛官OBを含む国民保護に任ずる陸上自衛隊の体制を構築しておくべきです。

 3つめはロシア、ウクライナ双方とも凄まじい情報戦を行っている点です。表にはまだ出ていませんが、サイバー戦、宇宙戦、電子戦の領域は激しく行われていると考えます。また欧米諸国の支援を受けてウクライナが実施している情報戦(対情報戦、認知戦)はすさまじいものがあり、これは自衛隊も学ぶべき点が多いでしょう。

【了】

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Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

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1件のコメント

  1. 日本も満州や外地では警察や軍人の家族はいち早く夜逃げして、軍隊が何もせず降参して置いてきぼりの在留邦人は侵略者(西ウクライナの懲罰部隊)や不満を持つ現地人等から略奪暴行をうけ、絶望した人々は自殺までした事実を忘れないように!
    私達母と従姉は一〇月二三日釜山から機帆船で広島県尾道に上陸三重県の母の実家にたどり着いたのは幸いでした。