空飛ぶレーダー「皿」から「まな板」へ世代交代 早期警戒管制機のゆくえ 空自機はどうなる?

アメリカ空軍が早期警戒管制機E-3の一部をE-7で更新します。世界中で運用され、空の番人ともなっているE-3ですが、初飛行から40年以上が経過。更新機は性能こそ向上しているものの、“その先”を見据えた開発も進んでいます。

日本のE-767は?

 アメリカ空軍のE-3更新が発表されると、日本のネット上では航空自衛隊の運営するE-767の後継機もE-7になるのか、それは適切なのかという議論も見受けられました。E-767はE-3のシステムをボーイング767に移植した機体です。

 しかしながら、原型機であるボーイング767は旅客機型の生産こそ終了していますが、貨物機型や軍用機型の生産は継続されており、E-3のような急激な維持運用コストの高騰が起こる可能性は低く、コストの観点から後継機の導入を早急に検討する必要はなさそうです。

 また、アメリカ空軍が今回、E-7によって更新しようとしているのも、冒頭で述べたようにE-3のあくまで“一部”です。その背景には、E-7の先を見据えたビジョンもあります。

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エアバスが発表した「AFSC」のコンセプトCG(画像:エアバス)。

 NATOはE-3を後継する「AFSC」(Alliance Future Surveillance and Control/将来同盟監視制御)と言う名称のシステムの検討を開始し、2021年11月にその実現可能性を調査するための企業チーム「ASPAARO」が発足しています。ASPAAROに参加しているエアバスはAFSCのコンセプトCGを発表していますが、そこには情報収集衛星や無人航空機などが描かれており、おそらくAFSCは単なる早期警戒管制機ではなく、活用できる情報収集手段を組み合わせた早期警戒管制「システム」として構想されているものと考えられます。

 将来長期に渡って制空権を確保する観点においては、日本も単なるE-767の後継機ではなく、AFSCのような将来の早期警戒システムのあり方を考えておく必要はあると筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

【了】

【「皿」→「まな板」】米空軍E-3の後継となるE-7 画像で見る

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

5件のコメント

  1. E-3セントリーは

    ボーイング707をベースにして

    多数は

    エンジンを最新鋭のジェットエンジンに換装

    した機体もある

    しかし、世界で唯一

    航空自衛隊浜松基地に配備してる

    早期管制警戒機は、ボーイング767をベースにしてる!

  2. 「ボーイング737-300をベースに開発された早期警戒管制機です。」と記載がありますが、正しくは「ボーイング737-700」ではないでしょうか?

    • ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。

  3. 日本が「E-3」欲しいです

    ボーイグが「ベースの707は生産終わるから

    767ベースはどう?

    ボーイグ767日本が15%担当してるからと

    それで

    E−3のシステムを767に移植した

    通称「E−767」結局

    アメリカ空軍は使用せず

    世界で唯一

    航空自衛隊が4機を採用

    1機555億円

    航空自衛隊浜松基地に配備

  4. やっぱ 使うんだね。わかってました。