今度のお客はウクライナ兵 「戦場のタクシー」M113装甲車 60年も重宝されるワケ
開発当時は想像だにせず? ウクライナ兵を乗せるとは…
生産数が多い装備は、当然のことながら実戦での戦歴も多く、M113はベトナム戦争から2017年にフィリピンで発生した「マラウィの戦い」と呼ばれる内戦(ISILに同調する武装集団とフィリピン軍との戦い)まで、50年以上、33の戦いに参加しています。その間に国際情勢は大きく変化しており、アメリカでの開発時点では考えられなかった国による使用や、戦いへの参加という現象も起こっています。
M113はベトナム戦争中、南ベトナム軍にも多数が供与されました。戦争終結後に南ベトナム軍の装備品を編入した北ベトナム軍(現在の国軍であるべトナム人民軍)は1979年の中越戦争で、ベトナム戦争中の仇敵であるアメリカが開発したM113を、北ベトナムを支援した中国との戦いに投入しています。
そもそもM113は、かつてウクライナもその一部であった、旧ソ連を盟主とするワルシャワ条約機構との対決を想定して開発された装甲車です。戦場のタクシーの新たなお客様としてウクライナ兵を乗せるということも、当然のことながら開発時には考えられなかったことの一つです。
また、派生型の多さもM113の特徴の一つです。5mm機関砲を搭載する歩兵戦闘車型のAIFV(Armored Infantry Fighting Vehicle)や、対戦車ミサイル搭載型、対空ミサイル搭載型など、様々な派生型が開発されており、その中にはイタリアが開発した水陸両用強襲車「M113」アリゲーターのような、もはや原型が何なのかわからないレベルにまで改造された車両も存在します。
内部まで再現されたタミヤの名キット、かつて作りました。
一応水上浮行装備がありますが、実戦では機会はなかったでしょう。
マニアにかかれば、シリアスな戦争も、おもしろ乗り物ニュースになるのか…。
なんとも言えない。
いくらなんでも、「今度のお客はウクライナ兵」はないだろう。