今度のお客はウクライナ兵 「戦場のタクシー」M113装甲車 60年も重宝されるワケ

アメリカなどからの軍事支援により、ウクライナへ様々な兵器が集まっています。そのなかには、歴史の古い装備のひとつ「戦場のタクシー」とも呼ばれるM113装甲車も。かつてソ連側にあったウクライナ兵を乗せることになりました。

履帯式装甲車の再評価につながるか

 もっとも、21世紀に入って、対テロ戦争のような不正規戦が増加して以降、先進諸国の軍隊では、履帯式装甲車に比べて戦場へ迅速に展開できる装輪(タイヤ)式装甲兵員輸送車の採用が増加しています。しかし装輪装甲車は、履帯式に比べて泥濘地や砂漠などの舗装されていない路面(不整地)の踏破能力にやや劣り、また運用する軍隊の要求に基づく装備の追加搭載能力でも、履帯式装甲車には及びません。

 そのため、近年では履帯式装甲車を再評価する動きがあり、今回のロシアのウクライナ侵攻により、その気運はさらに高まる可能性があると筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

Large 20220512 01
基地警備用にアメリカ空軍がイラクへ派遣したM113。増加装甲の装着により外観が大きく変化している(画像:アメリカ空軍)。

 そして現在。アメリカ陸軍はM113を後継する履帯式装甲車「AMPV」(Armored Multi-Purpose Vehicle)の導入を進めていますが、いまだに多くの国でM113は主力の装甲兵員輸送車として運用されています。近年ではM113をライセンス生産したトルコが、M113をベースとする無人戦闘車両「シャドウライダー」を開発するなど、新たな活用法も生まれています。

 今年で制式化から62年を迎えるM113ですが、世界中でまだまだ活用されそうです。たとえば、M2 12.7mm機関銃やM1911「ガバメント」拳銃など、制式化から100年以上に渡って運用されている銃器は存在しますが、軍隊の制式装備として100年運用されている装甲車は、筆者の知る限り皆無です。M113が初めての“100年装甲車”になるのでしょうか。

【了】

【写真ギャラリー】なぜかNASAも持ってた「戦場のタクシー」M113 豊富すぎるバリエーションを写真で見る

ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

最新記事

コメント

2件のコメント

  1. 内部まで再現されたタミヤの名キット、かつて作りました。

    一応水上浮行装備がありますが、実戦では機会はなかったでしょう。

  2. マニアにかかれば、シリアスな戦争も、おもしろ乗り物ニュースになるのか…。

    なんとも言えない。

    いくらなんでも、「今度のお客はウクライナ兵」はないだろう。

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  3. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  4. ロシアのミサイル部品工場が「大炎上」 ウクライナ軍の航空機から発射した巡航ミサイルが「直撃」か
  5. ウクライナ軍の「1000機の無人機」がモスクワの製油所を襲撃!“タンクが吹き飛ぶ瞬間”を捉えた映像を大統領が公開 今後の影響は?
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号