やっぱり使ってた! ウクライナ軍「元ロシア戦車」大量投入か 改修お手のものなワケ
世界有数の戦車開発国だったウクライナ
ウクライナには旧ソ連時代から軍需工場がいくつも存在しており、現在もO.O.モロゾウ記念ハルキウ機械製造設計局やV.O.マルィシェウ記念工場といった、戦車の設計や生産における傑出した名門施設が活動を続けています。しかも、ロシア軍の主力戦車であるT-72B3などのT-72系やT-80系の戦車は、ウクライナもほぼ完全にメカニズムを掌握しているため、整備のみならず損傷の修理も当然ながら可能です。
現在、再編成を終えたロシア軍はウクライナ東部ドンバス方面で戦っていますが、これを迎え撃つウクライナ軍は、すでに鹵獲し再整備した「元」ロシア軍戦車を、自軍の戦車部隊に組み込んで実戦に投入しているという説があります。
また、5月末から6月頃と噂されているウクライナによる大規模な反攻作戦に、チェコやポーランドから送られてきた供与戦車とともに鹵獲戦車も大々的に投入されるというハナシもあり、鹵獲戦車にかんしては、未確認の情報が乱れ飛んでいるようです。
余談ですが、日本には相手が射た矢を射返すと必ず当たるという、古事記にちなんだ諺(ことわざ)として「返し矢恐るべし」という言葉があります。ウクライナ軍が修復や再整備を施した鹵獲戦車群は、やがてロシア軍にとっての「返し矢」的存在となるのでしょうか。
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Writer: 白石 光(戦史研究家)
東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。
よく見たら砲身に「FURY」って書いてある。映画ファンとしては嬉しい。