「沖縄ですか…」から50年 元陸自トップが見た返還直後の沖縄 反自衛隊感情が渦巻く時代

沖縄が本土に復帰してから50年が経ちました。いまから半世紀前の沖縄はどのような状況だったのか、自衛隊に対する風当たりはどれほどだったのか、沖縄駐屯部隊を原隊とする元陸上幕僚長に話を聞きました。

元陸上幕僚長が振り返る半世紀前の沖縄

 沖縄が本土に復帰してから50年を迎えました。1972(昭和47)年5月15日、アメリカの軍政は終わりを遂げ、新生沖縄県が発足。それに伴い沖縄の防衛も日本が担うことになったため、新たに沖縄県にも自衛隊が配置されました。

 ゆえに、この50年は在沖自衛隊の歴史でもあります。そこで、1974(昭和49)年に新米幹部として沖縄県に赴任し、現地で生活したご経験をお持ちの火箱芳文(ひばこよしふみ)元陸上幕僚長に、当時の沖縄の状況を振り返ってもらいました。

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急患輸送を行う第15旅団第15ヘリコプター隊のCH-47JA輸送ヘリコプター(画像:陸上自衛隊)。

――沖縄が本土復帰50周年を迎えましたが、感想をお聞かせください。

 沖縄が本土復帰してから50年を迎えたことは、大変感慨深いものがあります。沖縄が復帰してから半世紀の月日が流れましたが、彼の地は私の自衛官としての原点であり、愛着のある場所です。沖縄復帰50周年は自分史の中で大きな節目として長く記憶に留めていきたいと思います。

 振り返ると、1945(昭和20)年8月15日に日本は終戦を迎え、1952(昭和27)年4月28日サンフランシスコ講和条約を締結したことでアメリカの占領下から脱し、日本に再び主権が戻ってきました。しかし、沖縄だけは依然として、米軍統治下のままでした。同じ日本でありながら沖縄だけは「外国」だったのです。

 従って、戦後の復興も本土に比較して大きく遅れていました。アメリカ軍と2か月半にわたり死闘をくり返し、軍民問わず多大な犠牲を出した沖縄戦を思うとき、祖国日本のために戦った沖縄県民の方々が本土並みの処遇を受けないことを、同じ日本人として極めて残念に思っていました。

 思えば半世紀前、私はまだ事情もよくわからない防大(防衛大学校)の学生、若輩者であったものの、沖縄が本土復帰したのをニュースで知り嬉しく感じた記憶があります。当時から数えて50年も経ったかと思うと、感慨深いです。

【写真】沖縄に移駐する陸自部隊&1970年頃の沖縄の風景

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