「沖縄ですか…」から50年 元陸自トップが見た返還直後の沖縄 反自衛隊感情が渦巻く時代

沖縄が本土に復帰してから50年が経ちました。いまから半世紀前の沖縄はどのような状況だったのか、自衛隊に対する風当たりはどれほどだったのか、沖縄駐屯部隊を原隊とする元陸上幕僚長に話を聞きました。

他人事とは思えない「沖縄」と「5.15」

――実は、火箱さんにとって沖縄は赴任先の第1希望ではなかったとお聞きしましたが。実際、沖縄の部隊に着いたときの第1印象はどうだったのでしょうか。

 最初に私が沖縄へ行ったのは、防大卒業後に進んだ陸上自衛隊幹部候補生学校の入校時です。戦史の科目の中に沖縄戦史があり、この現地研修の際に初めて沖縄の地を踏みました。

 ただ、私自身は、北海道の部隊を第1希望にしていました。しかし運命のいたずらか、沖縄の第1混成群(当時)へ配属になったのです。卒業前に赴任地が幹部候補生らの前で発表になった際、「火箱芳文、第1混成群那覇へ」といわれ驚いたのを覚えています。

 このときは、周りの同期らが「オー」と、どよめき立ち、次いで拍手や笑いも起きました。それくらい、沖縄勤務に対する何ともいえない複雑な思いを、候補生たちが持っていたといえるでしょう。

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1971年の那覇空港(画像:沖縄県公文書館)。

 当時、南西諸島地域は陸上自衛隊にとって第一線ではなく、ましてや沖縄は反自衛隊感情の強い場所と認識されていたため、希望する者は少なかったと思います。3人の同期と一緒に那覇空港に到着した時は、沖縄特有の青空が明るく広がっている反面、これからどうなるのかという不安な気持ちも正直ありました。

 ところが那覇空港には制服を着た副群長(2等陸佐)ほか大勢の自衛官らが我々3人のために迎えに来て下さっていて、迎え入れる部隊側が格別の配慮をしてくれたことを知り、おおいに感激したものです。

 その後、団長室に案内され、第1混成団(現第15旅団)のトップである桑江陸将補に会い、温かい歓迎の言葉をかけてもらったほか、列席する主要幹部の人たちから改めて歓迎を受けると、「何とかなるな」と考えが変わり、不安がほぼ消し飛んだことを覚えています。

 一方で1974(昭和49)年の沖縄は、本土復帰から間もない時期であったため、街には英語で書かれた看板が多く掲げられており、アメリカのような雰囲気が残っていました。「奇跡の1.6マイル」と呼ばれた国際通りだけは賑やかなところでしたが、一歩路地裏に入ると建物は粗末なものが多く、復興は本土と比べてまったく進んでないなと感じた記憶があります。当時は本土からの資本の投入も少なく、沖縄は経済的に貧しかったと言えます。

 沖縄の本土復帰は1972(昭和47)年5月15日ですが、私の誕生日も5月15日です。そのため、何か縁のようなものを感じており、いつもこの日だけは忘れません。沖縄が復帰してから50年の月日が流れましたが、沖縄は私の自衛官人生のスタートになった部隊があった愛着のある場所です。

 沖縄復帰50周年は自分史における大きな節目として、長く記憶に留めていきたいと思います。

【了】

【写真】沖縄に移駐する陸自部隊&1970年頃の沖縄の風景

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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