路線バスを植物園にしちゃった、今月は。 バス会社をエンタメ路線に突き動かしたワケとは

乗車率140%増企画、「絵」が売れた企画も

 2022年1月は、車内の天井に星を映写する「プラネタリウムバス」を運行、乗客は約140%増えたといいます。

 2月は「アートバス」。瀬戸内に縁のあるアーティストの作品を車内に展示し、その場で購入も可能にしました。実際に8点が売れ67万円ほどの売り上げがあったそうです。

 3月は「宇宙一贈る言葉にあふれたバス」。バス通学の卒業生に向け、春から素晴らしい新生活を迎えてもらおうという企画で、贈る言葉が書かれた寄せ書きが車内中に掲示されました。この企画は特別車両だけでなく、なんと両備グループ全路線、339台の路線バスで実施し、卒業生の門出を祝いました。

 4月は宇宙一学びに配慮したという「学び場ッス」。コンセプトは「通勤時間を学びの時間に変えることで人生が変わるかも」というもので、主にマイカー通勤のお客さんに向けた企画だそうです。車内には様々な検定試験で出された超難問が掲示され、学習意欲がくすぐられる仕組みになっています。さらに、勉強の妨げにならないよう社内トップクラスの運転手を配置し揺れを最小限に抑えたり、車内アナウンスも優しいトーンにしたりと、こだわりは半端ありません。

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キャンペーンのラッピングバス「正念場ッス」。赤字路線を中心に運行(画像:両備ホールディングス)。

 このプロジェクトの背景にあるのは、地方が直面している公共交通事業者の厳しい現実です。これら路線バスとは別に、両備グループは大型観光バスをラッピングしたキャンペーンバス「正念場ッス!」も、グループのなかで乗車率の低い路線を中心に走らせ、公共交通の窮状と利用促進を訴えています。

 従来から厳しい環境に置かれ、コロナ禍でさらに利用者離れが加速するなか、なんとかバス事業を盛り上げよう、公共交通の良さを再認識してもらおうという両備グループの挑戦は今後も続きます。なお、それぞれのバスの運行情報は「宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクト」ウェブサイトで確認が可能。ちなみに次回(6月)の企画は、6月10日に発表とのことです。

【了】

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Writer: 西田伸昌

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