BIGBOSSに会うまでが遠い? 北海道の新球場「バスどうするか問題」 JR新駅開業までの課題

他地域の事例は参考になる?

 他地域を見ると、シャトルバス依存度が高い福岡PayPayドームは、地下鉄の最寄り駅(唐人町)まで1km少々。加えて、各方面から球場へ30~40台のバスを試合ごとに出せるのは、バス業界最大手「西鉄バス」の営業エリアだからこそでしょう。駅と本拠地が離れているチームも多いサッカー・Jリーグでは、球団が鉄道の延伸活動に向けて署名を行ったり(浦和レッズ)地元の最大手バス会社との協定を結び、普段から関係を深めたりと(清水エスパルス&静鉄バス)、交通機関との連携を深めている例があります。

 輸送力の確保に課題を残す北海道の新球場ですが、乗降をスムーズに行える取り組みも必須になるはずです。バスの優先運行(埼玉スタジアムなどで事例あり)などを検討してもよいのではないでしょうか。

開発が進む北広島、ファイターズとともに盛り上がるか?

 新球場の建設が進む北広島市は、商業地としての地価上昇率が全国1位を記録するなど、新球場以外のエリアも注目度が高まりつつあります。また球場に隣接して建設予定のマンション「レ・ジェイド北海道ボールパーク」は、札幌市外では異例の高価格帯にも関わらず、第一期・二期合わせて100戸以上が即時完売という状況です。いま札幌市は新幹線開業に向け“バブル”状態とも言える物件の高騰が続いているため、札幌から快速「エアポート」なら17分で到着できる北広島市の地価も、新球場とともに上昇していきそうです。

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JR北広島駅(宮武和多哉撮影)。

 一方、現在の北海道日本ハムファイターズの本拠地である札幌ドームは、開業から20年以上が経過しています。先ごろ札幌市は、ファイターズ移転後に野球以外の興行開催で900万の黒字を確保する見通しを発表しましたが、サッカー・ラグビーに欠かせない天然芝のグラウンドを収納する可動ステージが近年故障に見舞われるなど、今後の不安も残ります。かつ、他地域ならラグビーの試合が多い冬場には、そのピッチが屋外に出されるためゲーム開催が難しいなどの問題もあります。

 しかしサッカーJリーグ・北海道コンサドーレ札幌は、これからも札幌ドームを本拠地として使用します。ルヴァンカップで4年連続のグループステージ突破を決めるなど実力は安定し、これからも熱い声援が送られることでしょう。“BIG BOSS”こと新庄剛志監督が率いるファイターズ、“ミシャ”ことミハイロ・ペトロヴィッチ監督が率いるコンサドーレ、どちらも多くの観客で賑わうためにも、お互いに観客輸送の充実が求められそうです。

【了】

【どれくらいできた?】新球場と新駅周辺 写真で見る

Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)

香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。

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