低迷「スペース・ジェット」vs好調「E-Jet E2」 2機種の“隠れた違い”とは? それぞれの利点

「スペース・ジェット」後部貨物室採用の背景

 なお、「スペース・ジェット」当初は後部貨物室のほか、前方に床下貨物室を導入する予定でしたが、開発発表の翌年となる2009年に、一転して客席後部1か所に貨物スペースを集中するとしました。このとき、後部貨物室の方が積み降ろしの効率が良く、1か所に集中することで貨物の取り扱いが容易になるとの理由を挙げていました。

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福岡空港。エンブラエルの「E-Jet」やボンバルディアCRJなど、リージョナル機も頻繁に発着する(乗りものニュース編集部撮影)。

 航空会社が新機種を導入する際は、巡航速度や高度、燃費といった運航コストに直接結び付く性能のほかに、明確なデータとして表れない「使い勝手」も重要な条件になります。売り込む側のメーカーは、航空会社から数えきれない要望を受けるものの、機体の容積と重量は限られており、その中で期待された性能と「使い勝手」を実現しなければなりません。

 どの要望を採用し、どれをあきらめてもらうか――開発は常に、「トレードオフ」と「取捨選択」が山積みです。三菱航空機が前部床下貨物室を早々にやめたのは、航空会社にリサーチをかけたうえでの結果でしょう。

 リージョナル機の王位を掴みつつあるエンブラエルの最新型「E-Jet E2」が採用したダブル・バブル構造と床下貨物室か。「ニューカマー」を目指した「スペース・ジェット」の真円胴体と後部貨物室か――2モデルはベテラン対ルーキーの対決ともなっただけに、貨物室を巡る“タイマン勝負”の結果は、ぜひ知りたいものでした。

【了】

【なんちゅー形】エンブラエルが公開した「未来のプロペラ機」が未来すぎる

Writer: 清水次郎(航空ライター)

飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。

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