聖ジャベリン様も払底の危機か どの国も陥りかねない現代戦の思わぬ「落とし穴」

ロシアによるウクライナ侵攻は、高価な「タマ」を撃ち合う現代戦であり、そして長期に及ぶにつれ、支援国を含むいずれの陣営にも「タマ切れ」問題が浮上してきました。戦いの様相は先祖がえりしていくのでしょうか。

軍事企業にとっては「ビジネスチャンス」…ではないの?

 アメリカの「ジャベリン」在庫数は明らかになっていませんが、米シンクタンクの戦略国際問題研究所は陸軍の予算書から、在庫は2万発から2万5000発と見積っています。その内7000発がウクライナに提供され、そして当然、アメリカ国内でも訓練で消費されています。戦争が長引くにつれウクライナでの消費量は増え続け、さらに提供しなければならないことも十分に予想され、在庫は減っていく一方になりそうです。

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アメリカからウクライナに輸送するため輸送機に積み込まれる弾薬類(画像:アメリカ国防総省)。

「ジャベリン」の米国2021年予算年度における調達価格はひと組59万3203ドル(約8008万円、2020年6月15日為替レート)、射出器を除くミサイル1発は17万5203ドル(約2360万円、同)となっています。メーカーはさぞ大儲けだろうと思うかもしれせん。「死の商人」なるものが存在し、儲けのため戦争を起こすという陰謀論はよくささやかれます。しかし残念ながら現在では経済規模的にも、軍需産業は儲かるビジネスではなくなっています。

 軍需産業の利益率はハイテク、IT分野など他業種に比べても悪いので、積極的な設備投資は行われず、戦時大量生産体制など考えられてさえいないようです。レイセオン/ロッキードマーチンが「増産体制を整えるのに数年かかりそうだ」と述べていること自体、「ビジネスチャンス」を生かそうと本気になっていないことを示しているように見えます。

 レイセオン・テクノロージーズの株価もロシアの侵攻開始当初こそ上げ、4月20日に最高値を付けますが、その後は下落を続け5月20日には侵攻前水準に値を戻し、乱高下を繰り返しています。NYダウの動きと比べても、同社の業績よりむしろ金利上昇などの金融市場動向に引っ張られているようです。現代では、「死の商人」が戦争で儲かるとは限らない証左だといえます。

【写真】対戦車ミサイル「ジャベリン」の製造ライン

ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

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