聖ジャベリン様も払底の危機か どの国も陥りかねない現代戦の思わぬ「落とし穴」

ロシアによるウクライナ侵攻は、高価な「タマ」を撃ち合う現代戦であり、そして長期に及ぶにつれ、支援国を含むいずれの陣営にも「タマ切れ」問題が浮上してきました。戦いの様相は先祖がえりしていくのでしょうか。

武器生産を国内のみで完結できなくなったロシアの陥った罠

 ロシア側でも高価な「弾が無い」事情は同じようです。兵器を国産できる産業力はありますが、サプライチェーンはやはり複雑で、西側からの輸入もあります。

Large 20220616 01
露エルビス社の32ビットプロセッサー。メインコアはイギリスのARMCortex-A9。ロシア製半導体の多くは輸入品のリパッケージ品(画像:ロステック)。

 4か月もの正規軍同士の長期戦は、どの国もそうでしょうが、ロシア自身も想定していなかったと見え、そうしたなか特に半導体について、これまでロシアは国産化に失敗し供給は台湾のTSMCなどからの輸入に頼ってきており、経済制裁でその不足が深刻になっています。ロシアの戦車メーカーであるウラルヴァゴンザヴォートはサプライチェーンが不安定となり、生産ラインが停止しているようです。

Large 20220616 02
ウラルヴァゴンザヴォートの戦車工場を訪れたプーチン大統領(画像:ロシア大統領府)。

 この紛争はロシアとウクライナのどちらが先に兵器在庫が払底するかの、持久戦の様相を呈しつつあります。現代戦を決する複雑高価精緻で強力な兵器は「たまに撃つ 弾が無いのが玉に瑕」状態なのはどの国も同様で、長期持久戦など想定していなかったようです。

 しかしどちらかの兵器の在庫が払底したとしても、それで停戦に至るとは思えません。どちらかが戦争目的を達したと判断するまで、20世紀のレガシーな兵器を手に20世紀型の戦闘へ移行していくだけに思えます。持久戦に決着を付けようと大量破壊兵器を「たまに撃つ」という事態となれば、それこそ川柳ではすみません。

【了】

【写真】対戦車ミサイル「ジャベリン」の製造ライン

ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  3. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  4. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  5. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス