都バスが富山で「冷凍餃子店」になっていた!? お代は運賃箱へ 高速バス会社の珍副業なぜ?

発案者は社長! バス愛にあふれた動機

 オープンして間もないこの店舗の出足は好調で、特に小さな子供はバス車内ならぬ店内を探検したり、座席に座ってみたり、一様に大はしゃぎしているのだとか。この無人店舗を自ら考案したというイルカ交通の西村 寛(ひろ)社長に話を伺いました。

――この無人販売店は、どのような経緯で出店されたのでしょうか?

西村社長:新型コロナウイルスの影響で高速バス「きときとライナー」は乗客ゼロ人という状態が続き、2020年4月に路線開設を予定していた「高山~高岡線(白川郷経由)」は運行開始を後ろ倒ししたものの、それでも厳しい状況でした。また地域の遠足などがなくなったことで貸切バスの売上減少も大きく、何か新しいことへの挑戦が必要と考えていました。

 そこで、もっとバスを身近に感じていただけるためにバスで(何かを)売ろう! と考えたのです。富山県は1世帯あたりの自家用車保有台数が全国2位でもあり、また開設したばかりの高岡バスターミナルもなかなか場所を覚えてもらえませんでした。ここへ当社のイメージカラーの黄色でラッピングした車両を置くことで、それを覚えてもらう狙いもありました。

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行先表示器も「きときとライナー」などと流れるように表示される。種車の路線バスについていたものとは別に調達した(宮武和多哉撮影)。

――御社は「きときとライナー」などの高速バス路線で知られています。なぜ、あえて路線バス仕様の車体を店舗に使用されたのでしょうか?

西村社長:確かに、イルカ交通は高速バス・貸切バス専業のため、路線バス車両をもともと保有していません。当初はコロナ禍で余っていた貸切車両(いすゞガーラ)の活用を考えていましたが、冷凍庫搬入などの関係で車両を半分に切る必要があり、経費的にも心情的にもためらわれ、中古路線バス車両の導入を検討しました。

 中古車を探していたところ、販売業者様の紹介で、イメージとぴったりな、まだきれいなバスを見つけ、新しい業種で生まれ変わればと思い購入しました。なお今回は廃車体を活用しましたが、移動できる店舗の出店も、将来的にはあり得るかもしれません。

【「みんくる」いる!】都バス改造「無人冷凍餃子店」の車内 写真で見る

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