戦車も火砲も鉄道貨物が必要だ! 自衛隊が国交省へ「直訴」に至ったウクライナ情勢と国内事情

国交省の「鉄道物流のあり方検討会」で、防衛省は安全保障に対する鉄道貨物の重要性を猛烈にアピール。資料にも表れているその「熱量の高さ」は、衰退傾向にある鉄道の現状への危機感が感じられます。

10式戦車鉄道輸送のための布石なのか

 中国の脅威に加え、新たに「ロシアの脅威」にも対処しなければならなくなった日本にとって、陸自の主力部隊が北へ、南へと迅速に移動する能力が今まで以上に求められています。これらを考えれば、例えば新幹線の車両限界(全幅3.4m)を採用する青函トンネルの部分だけでも10式戦車を鉄道輸送できれば、北海道~本州の輸送手段に選択肢が生まれ国防上非常に有効となるはずです。

 ちなみに現在この区間の輸送は船舶のみで、万が一暴風雨や仮想敵国が機雷や潜水艦で海上封鎖を行った場合は、1両をそのまま空輸可能な輸送機は航空自衛隊にないので、分解して数機で運ぶか、またはアメリカ軍に頭を下げて空輸してもらうしかないのが実情です。

 実はこれに関して前述の防衛省/自衛隊の回答の中に注目すべき箇所があるのです。北海道~九州の輸送に関して「装備品(車両、戦車、火砲等):民間輸送力(鉄道、トラック、船舶)…」という記述が。つまり「戦車や火砲などをより速やかに輸送するには、鉄道貨物が必要なのだ!」という“陸自側のメッセージ”なのでは?とも見られているのです。

 2022年の春ごろからJR各社が続々と赤字ローカル線の実情を発表、不採算路線の廃止も念頭に置いた議論が進んでいます。自衛隊の“鉄道必要論”は、こうした風潮に対して危機感を抱く防衛省/自衛隊の“牽制”では、とも。さらには「少子高齢化、人口減少が進み、これまで依存して来たトラック輸送を担う大型トラックの長距離ドライバーの確保すら厳しくなる一方で、これをカバーするため“鉄道回帰”を図っているのでは」との見方もあります。果たして今後「自衛隊貨物列車」がどれだけ全国を駆け抜けるようになるのか注目です。

【了】

【自衛隊が提出した「アツすぎる貨物プレゼン資料」】

ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

Writer:

1962年、東京生まれ。法政大学文学部地理学科卒業後、ビジネス雑誌などの各編集長を経てフリージャーナリストに。物流、電機・通信、防衛、旅行、ホテル、テーマパーク業界を得意とする。著書(共著含む)多数。日本大学で非常勤講師(国際法)の経験もある。

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コメント

1件のコメント

  1. 元々鉄道は大事な戦略兵器!普仏戦争で大活躍したのもドイツの鉄道。

    今の若者は知らぬだろうが東海道新幹線は元々戦前にあった大陸への戦略物資輸送のための東京下関を結ぶ弾丸列車計画を下地として建設したので高々5年で完成したのだ。

    戦争中に新丹奈トンネルは1/3まで出来ていたし日本坂トンネルなどは完成していた。

    戦時中に半ば強制的に用地買収もほぼ終わって居た状態であった。

    だが新幹線を除けば我が国の鉄道は狭軌であるので61式戦車は鉄道輸送が可能であったが、74式,90式以降は不可能である。ただしその他の装備は本州を縦断するならトラックで運ぶよりも時間はかからない。

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