戦車も火砲も鉄道貨物が必要だ! 自衛隊が国交省へ「直訴」に至ったウクライナ情勢と国内事情

国交省の「鉄道物流のあり方検討会」で、防衛省は安全保障に対する鉄道貨物の重要性を猛烈にアピール。資料にも表れているその「熱量の高さ」は、衰退傾向にある鉄道の現状への危機感が感じられます。

肝心かなめの戦車は鉄道で運べない?

 では現在、自衛隊、特に陸上自衛隊は貨物列車でどんな車両・資材を運んでいるのでしょうか。

 車両に関しては16式機動戦闘車を皮切りに、96式装輪装甲車、87式偵察警戒車、高機動車、軽装甲機動車など装輪(タイヤ)式車両全般や、73式装甲車といった装軌(キャタピラ)式車両の一部、FH70 155mm榴弾砲(短距離自走が可能)などです。

 使用する貨車は主力のコンテナ貨車「コキ100系」(最大積載重量約40.5t、コンテナは12フィート5個、20フィート3個積載可能)で、床に木材など緩衝材を挟み込んで積むのが一般的ですが、近年では「40フィート・トラックコンテナ」と呼ばれる、両サイドと屋根のない特殊なコンテナに装甲車を載せて積み降ろしの手間や時間の軽減に努めています。

 JR貨物は石油輸送など一部を除き、ほぼ全てが「コンテナ仕様」であるため、このサプライ・チェーンに対応した方が効率的というわけです。もちろん他の機材や物資などは、弾薬を除いて(弾薬類はトラック輸送)12フィート(通称「ゴトコン」)、20フィート、31フィートの各コンテナに収納するのが原則です。

 気になる「戦車」の鉄道輸送ですが、前述のように防衛省/自衛隊はウクライナ戦争における戦車の迅速輸送で、鉄道の貢献度をことさら重視しています。とはいえ、JR在来線の線路幅(軌間)は1067mmの「狭軌」に過ぎず、しかも国土が急峻でトンネルが非常に多いため、列車幅(車両限界)も「ジャスト3m」に厳しく制限されています。欧州の一部や北米、旧ソ連圏は線路幅「1520mm」(いわゆる広軌)で整備が進み、車両限界にもひろい余裕が用意されていることを考えると、鉄道事情は根本的に異なります。

 このため、戦後初の国産戦車「61式」(全幅2.95m)は鉄道輸送ができたものの、次世代の「74式」(同3.18m)は「履帯(キャタピラ)を外せば」という但し書きが追加。それでも少々非現実だったこともあり、実際の活動では鉄道輸送は行われていないようです。「90式」(総重量50.2t、同3.33m)は重量・全幅ともに規格外すぎて論外。現在の主軸「10式」は90式に比べ総重量44t、全幅3.24mと多少ダウンサイジングがなされており、発着駅での積み降ろし用の専用プラットフォームなどインフラ整備を行えば、多少なりとも鉄道輸送が期待できるかもしれません。

【自衛隊が提出した「アツすぎる貨物プレゼン資料」】

ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

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コメント

1件のコメント

  1. 元々鉄道は大事な戦略兵器!普仏戦争で大活躍したのもドイツの鉄道。

    今の若者は知らぬだろうが東海道新幹線は元々戦前にあった大陸への戦略物資輸送のための東京下関を結ぶ弾丸列車計画を下地として建設したので高々5年で完成したのだ。

    戦争中に新丹奈トンネルは1/3まで出来ていたし日本坂トンネルなどは完成していた。

    戦時中に半ば強制的に用地買収もほぼ終わって居た状態であった。

    だが新幹線を除けば我が国の鉄道は狭軌であるので61式戦車は鉄道輸送が可能であったが、74式,90式以降は不可能である。ただしその他の装備は本州を縦断するならトラックで運ぶよりも時間はかからない。

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