函館本線「山線」140km廃止合意 駅で列なす通学生どうなる? 課題山積の転換バス問題

1000人の通学生 どうバスを「待つ」? 【余市~小樽】

 小樽市内には6つの高校があり、余市~小樽間は小樽方面に1000人以上が移動するという朝晩の通学需要によって支えられてきました。所要時間は鉄道なら20分少々、既存の路線バスでは40分少々かかりますが、鉄道廃止後は、学校が集積するエリアへの余市小樽線の直通や、そのほか塩谷線・最上線も含めた再編などでカバーすることが想定されています。

 そしてもう一つ、今回の会議で掘り下げられていない転換バスの課題は、バスを「待つ環境(乗車場所)の整備」と「交差点のバス渋滞対策」ではないでしょうか。

 現在のJR余市駅は観光センターと併設された駅舎があり、寒い冬でも発車直前まで列車を待てるほか、駅前のロータリーも広く、家族による送迎も多く見られます。

 しかし、現在の路線バスの中心である「余市駅前十字街」バス停周辺は歩道が狭く、最も発着本数が多い国道5号沿いのバス停はバスベイ(退避場)が何とか1台分。片側1車線のこの国道は余市町内の24時間交通量が2万台前後と混み合うことも多く、現状でもバスの遅延などによって、退避できない後続のバスが車線を塞いでしまうケースも見られました。

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余市町内の中の川橋バス停。山線沿線のバス待合室の中でも、かなり堅牢な作りだ(宮武和多哉撮影)。

 今回の会議でも利用者が「待てる」環境として、余市駅前の乗り継ぎ拠点整備(余市駅前ロータリーへのバス乗り入れ)が想定されていますが、現行のロータリー乗り入れ便のダイヤから推察すると、バスに2~3分のロスが生じると推測されるほか、後志地方の国道5号の中でも交通量の多い交差点への負担や、敷地内で送迎のクルマやタクシーとの交錯も心配されます。この周辺では国道と鉄道がある程度並行していることもあり、鉄道の廃止後は駅前後のわずかな距離でも、線路やホームをバス専用道に転用するといった策を打てないものでしょうか。

 国道5号上にあるバス停のなかには、石積みの待合がつくられたものもいくつか見受けられますが、こうした待合が老朽化しているケースも。余市駅や仁木駅に集中する家族送迎を分散して“近所で乗れる”状態にするには、改築が必須でしょう。

【長い!】廃止合意の函館本線「山線」の地図&沿線 画像で見る

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コメント

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1件のコメント

  1. ありがとうございます。新幹線開業で並行在来線は、これまでのケースならば、とってもふざけたダッサイ会社名の第3セクターでの転換が一般的でしたが、新幹線開業と引き換えに在来線完全廃止は北海道ならではの特有の事情でもありますね。毎回思うのが、新幹線開業を祝う反面、平行在来線を手放す、つまり生活路線を犠牲にしてしまうと言う現実は否めないところであります。