「21世紀のコンコルド」設計変更ナゼ? “胴体太らせて効率UP理論”とは ジャンボ747に先例
アメリカのブーム社が開発中の超音速旅客機「オーバーチュア」が、大きな設計変更を実施。胴体が不均一に太くなったのです。このウラにあるのが、「エリア・ルール」という理論です。
最初は「コンコルド」っぽかったのに
2022年7月にイギリスで開催されたファンボロー(ファンバラ)航空ショーで、アメリカのブーム・テクノロジー社が、SST(超音速旅客機)「オーバーチュア(Overture)」の設計を大きく変え、実用化へむけ開発を進めると発表しました。端的にいうと、胴体の一部をやや太くしたのです。
当初の「オーバーチュア」のルックスは、かつて実用化された唯一のSST「コンコルド」とそっくりで、細長い胴体断面形状がほぼ一定で客室最後部まで続く形でしたが、今回の改修で、断面形状が変更されました。先頭が尖がっているのは変わらないものの、操縦席付近の断面が一番太く、後部にかけて胴体がどんどん細くなるスタイルになりました。
なお、「オーバーチュア」改修版は長さ約60m、幅約30m、高さ約12mで、80席程度を収容できます。スピード性能も海上では超音速のマッハ1.7(約2100km/h)まで達する一方で、陸上の上空では「ソニック・ブーム(超音速で飛行した際に生じる衝撃波)」の影響を避けるためか、現代のジェット旅客機と同等のスピード「亜音速(音速をわずかに切る速度帯)」であるマッハ0.94(約1161km/h)の速度で巡航します。航続距離は大西洋横断可能な約6000kmとなっています。
先述の通り、「オーバーチュア」改修版では胴体が不均一に太くなるという設計変更が施されました。この根拠となるのが、「エリア・ルール」、日本語に訳すと「断面積法則」です。
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