「21世紀のコンコルド」設計変更ナゼ? “胴体太らせて効率UP理論”とは ジャンボ747に先例

「エリア・ルール」どんなもの?起源は?

「エリア・ルール」の起源は、実は航空機ではなく弾丸と記録されています。

 1950年代にNACA(現在のNASA)が、19世紀の砲弾において知られていたとある理論を「エリア・ルール」として発表します。その理論をひとことでいうならば、「その物体が音速を超えるさい、断面積の変化が少ない方が、空気抵抗が少なく、音速突破が容易になる」というものです。この「エリア・ルール」は、アメリカ空軍F-102で実際に採用され、同型機の課題となっていた「音速突破」のカギにもなりました。

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フランス・トゥールーズに展示されている「コンコルド」(松 稔生撮影)。

「エリア・ルール」では、機首から主翼の付け根辺りまで胴体断面積を太くし、主翼上は、主翼とエンジンが含まれるぶん全体の断面積が大きくなることから少しスリムに。最後部の垂直・水平尾翼と胴体後部を通して、胴体の断面積の差を滑らかになるようにします。

 このように、胴体(翼・エンジン含む)最前から最後部までを“輪切り”にした際、各部分の面積差をなるべく均一にすることで、抵抗が減少するという理論が「エリア・ルール」です。とはいえ、音速を超える領域では空気の流れが全く異なってしまうことから効率向上にはあまりつながらないとされていますが、音速より少し低い、高亜音速で巡航するジェット旅客機では、「エリア・ルール」は非常に参考となる理論です。

 ただ、あまり積極的に採用された例は少なく、燃料消費量よりも胴体の強度や生産性、旅客の居住性などを考慮し、いわゆる旅客機では、“寸胴型”の設計がスタンダードとなりました。

 その例外となった旅客機が過去にはあります。「ジャンボ・ジェット」と呼ばれたヒット機「ボーイング747」です。

【画像】激変!? 新「オーバーチュア」全貌&旧設計機との比較(16枚)

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