戦果続々 ウクライナで話題の「HIMARS」どんな兵器? 日本の島しょ防衛にもひと役
日本も無関係ではないワケ
そしてこの「HIMARS」に関して、実は日本も他人事というわけではありません。現在、沖縄に駐留しているアメリカ海兵隊にも「HIMARS」が配備されており、これが日本の防衛にも大きな意味を有しているのです。
現在アメリカ海兵隊では、中国による日本の島しょ部などへの軍事侵攻への対応策として、「遠征前進基地作戦(EABO)」というコンセプトを進めています。EABOは、敵の艦艇や航空機による活動を制限し、一方で味方の活動範囲を広げることを目的とするもので、具体的には海兵隊の部隊が島を占領して、そこにミサイルや通信装置などを運び込んで拠点化し、敵の艦艇や航空機を攻撃しつつ味方の活動範囲を広げていくというものです。
この中で、HIMARSは海兵隊が装備する兵器の中でも最大級の射程を誇っており、かつC-130輸送機によってさまざまな場所に機動的に展開することが可能なため、たとえば上陸してきた敵や別の島にいる敵などを攻撃したり、あるいは陸上自衛隊と連携する形で敵の艦艇に対する攻撃を実施したりすることが見込まれています。
特に、後者の対艦攻撃については、すでに2018年および2022年にハワイ周辺海域で実施された「環太平洋合同軍事演習(RIMPAC)」や、日本国内で実施された日米共同演習において、陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」と連携する形での訓練が実施されています。
ただし、現在HIMARSに装備可能なロケット弾やミサイルでは移動目標を狙うことができないため、直接敵の艦艇を攻撃できるわけではありません。しかし日米間で目標に関する情報を共有し、射撃のタイミングを調整することで、日本の陸上自衛隊が発射した地対艦ミサイルが低空から目標に接近する一方、HIMARSから発射されたロケット弾が上から敵艦艇が航行しているとみられる海域に着弾することで、敵が地対艦ミサイルに対処することを困難にするという狙いがあるのではないかと考えられます。
台湾情勢が緊迫感を増す中で、日本におけるHIMARSの存在感はより一層、増すことになっていきそうです。
【了】
Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)
軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。
是非、日本の南西諸島の、石垣・宮古島、北海道の稚内、知床、根室方面などにも、自衛隊が率先して配備して、中国・ロシアに対する睨みを効かせるべきだ。
ロシアの圧倒的砲撃でウクライナは敗北を待つのみ(;o;)みたいなニュースがHIMARS供給以降ぱったりと無くなりました(^o^)
これが敵地攻撃兵器の力(^∇^)