ところで「東九州新幹線」はどうなった? 大分・宮崎へ"大幅時短"の試算 現在の動きは?
この結果をうけて、どんな動きがある?
ひとまず、開業でどのような効果があるかが算出された東九州新幹線。では、その結果をうけて、地元はどう動いているのでしょうか。
宮崎・大分両県とも、目だった活動は「県の期成同盟会による国への要望」を定期的に行い、シンポジウムや講演会を開催するという程度になっています。費用対効果の試算は終わったものの、国の事業化に向けた「国への働きかけ」「地元の機運醸成」の段階にとどまっているといえます。
しかし、県としてのスタンスは、両県で微妙に異なっています。
宮崎県の政策の指針「宮崎県総合計画」の5か年計画「アクションプラン」では、重点項目「交通・物流ネットワークの整備と効率化の推進」の中の、「2-5-3 陸海空の交通・物流ネットワークの維持・充実」中に、鉄道の”維持充実と利用促進”がある程度で、新幹線整備には触れられていません。
さらに宮崎県は新たな指針「長期ビジョン」を策定中で、ことし夏前に意見募集をしたところ、やはり「東九州新幹線の建設推進について、はっきり書くべきでは?」という主旨の意見が寄せられています。
それに対し県は、「現在、東九州新幹線の整備については(中略)国などに対し要望活動等を行なっておりますが、財政負担や並行在来線の運行維持など検討すべき多くの課題があり、現時点での直接的な表現は差し控えたところです」と、消極的な態度を見せているのです。
これは、道路整備が「2-5-1 高速道路の整備ネットワーク」として独立施策になっているのを見ると、扱いは対照的となっています。2030年までの指針を示した「未来みやざき創造プラン」には重点指標に「緊急輸送道路の防災対策」があり、交通に関する重要度は高速道路整備に傾いている現状です。
いっぽうの大分県は、大分県長期総合計画「安心・活力・発展プラン2015」で、これからの基本方向のひとつとして「東九州新幹線の整備計画路線への格上げに向け、機運醸成のための活動や関係機関への働きかけに取り組みます」と明記しています。
2021年3月には、大分県の期成同盟会によるシンポジウムが開催。そこで行われたアンケートでは、新幹線について「必要・どちらかと言えば必要」が全体の92%となっていました。さらなる機運醸成に必要な取り組みについて、「シンポジウムや説明会の開催」「メディア等を通じたPR(SNSを含む)」が全体の85%となっており、今後、県内外へのキャンペーンを始めていくと思われます。
【了】
コメント