空軍が訓練に使う「市販フライトシミュレーター」=ゲーム…? 驚異の再現度の秘密 開発者に聞く
いまや軍民問わずパイロットの教育訓練にフライトシミュレーターを用いるのは当たり前。しかしフランス空軍は、ハイスペックな専用品ではなく、なんと一般人でも手に入る市販品を使っていたとのこと。関係者に話を聞きました。
ゲームと侮るなかれ クオリティー高すぎな市販シム
飛行機の操縦をリアルに体験できるゲームとして人気の高いフライトシミュレーター。コンピューターグラフィックスの飛行機は、実機ベースでリアルに再現されたものが多いことから、その内容の濃さなどと相まって飛行機ファンだけでなく実機パイロットにも愛用者が多数いると聞きます。
グラフィックが実写に近づいたことにより、思わぬ方向で世間を賑わすこともありました。ウクライナ侵攻が始まると、現地で撮影された写真や動画がSNS上を賑わせましたが、なかにはフライトシミュレーターの動画を流用したフェイク(偽物)映像もあったのです。リアルすぎるグラフィックが、バーチャルと現実の境界線を曖昧にさせているといえるでしょう。
そのときニュースになったのが、スイスにあるEagle Dynamics社がリリースしている「Digital Combat Simulator World」(DCS:World)という作品です。軍用機を扱ったフライトシミュレーターで、Su-27「フランカー」やF-15「イーグル」といった現用のジェット戦闘機が数多く登場します。DCS:Worldの特徴のひとつが、開発に複数の会社が関わっていることです。
なぜそうなっているかというと、さまざまな会社が開発に加わることで、幅広いリソースを集めることが可能になり、結果としてクオリティーを高めることにつながるからです。
具体的には、プログラム本体こそEagle Dynamics社が開発していますが、仕様を公開することで、そこに登場する機体や地形データなどはモジュールという形で他社が開発に参入することを認めています。こうすることにより高い頻度で新作モジュールが公開され、内容が日々拡大しています。
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