「世界最醜」兵器!? フェアリー「ガネット」初飛行-1949.9.19 見た目とは裏腹の高性能機

オーストラリアやドイツでも愛された「ガネット」

 機首のプロペラは2重反転式で、その直後の胴体内にターボプロップエンジンを搭載しましたが、パイロットの視界を確保するために短鼻とし、エンジン部分の上にコクピットを設置、さらに海軍の要求で魚雷や爆雷などの兵装を機内収容できるよう爆弾槽を機体下部に設けた結果、縦に長い胴体形状となりました。

 また、同機は対潜哨戒型のMk.1と、早期警戒型のMk.3の2タイプが生産されましたが、前者は操縦士の後方に哨戒士2名が乗り込みます。この2名は、各種対潜機器を操作するとともに周囲を目視で偵察警戒するため、機体下部を覗き込みやすいよう、キャノピー形状はバブルウインドウと呼ばれるふくらんだ形状をしており、さながら機体背部にふたつのコブがあるようでした。

 後者の早期警戒型は、このコブのようなキャノピーこそありませんでしたが、機体下部には大きなお椀型のレーダードームを装備したため、腹がふくれたような形状をしていました。

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イギリスが開発した「ガネット」対潜哨戒機は、オーストラリアやドイツ、インドネシアでも運用された(画像:オーストラリア海軍)。

 ただ、冒頭に記したように性能は良好だったため、1955(昭和30)年の運用開始後も改良が加えられながら、20年以上にわたって現役で運用されています。

 なお、「ガネット」は1978(昭和53)年に運用終了となりましたが、これは国防予算の不足からイギリス海軍が大型の正規空母を廃止したあおりを受けたためで、いわば強制的に運用終了となったものであり、仮に海軍が正規空母を廃止しなければもう少し長生きしていたかもしれません。

 この結果、「ガネット」は軽空母での運用が可能な「ハリアー」垂直離着陸戦闘機を除くと、最後のイギリス製固定翼艦載機となりました。なお同機は輸出にも成功し、オーストラリアとドイツが採用したほか、インドネシアが中古機を導入しており、生産数はトータルで約350機を数えています。

【了】

【おどけたような外観】左右の主翼が手のように見える駐機状態の「ガネット」ほか

Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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