空飛ぶのになぜ“錨”つき? 飛行艇「US-2」の船っぽい“神装備”とは
US-1の実績が後継機開発の端緒へ
US-1は水陸両用の救難飛行艇として開発された機体のため、機体のシルエットこそPS-1とほとんど変わらないものの、細かな改良が加えられており、操縦性能も大幅に向上しています。
1976(昭和51)年に海上自衛隊岩国基地に所属する第71航空隊で運用が始まると、2017(平成29)年に完全退役するまで離島からの患者搬送768件、洋上救難141件の計909回を実施し、827名の命を救っています。
このような実績をUS-1が残したことで、満を持して開発されたのが同機の性能を大幅に引き上げたUS-2です。2003(平成15)年に初飛行を遂げたUS-2は、2007(平成19)年からUS-1と同じ第71航空隊へと配備され、2022年10月までに試験機を含め8機が海上自衛隊に引き渡されました。ただし、このうちの1機は、2015(平成27)年の離水失敗事故によって大破。そのまま水没してしまったため、実任務に投入できるのは6機となっています。
US-1からUS-2へのおもな改良点は、フライバイワイヤ操縦システムの導入、旅客機並みのグラスコクピット化などのアビオニクス系統の進化、高高度を飛行することができるキャビン内の与圧、エンジンとプロペラを換装したことによるパワーアップと燃費向上などです。一方で、パイロットたちが最も恩恵を受けていると話すのが航空機搭載型の波高計だそう。
この波高計は、海面の状況を記録し、自動的に波高や機体を安全に下せる波長などを解析するためのツールで、これを標準装備したことで、より安定した着水が可能になったということです。
また、短い距離でも離水に十分な揚力を得ることができるSTOL性能や、余計な海水を飛ばさないための工夫など、改良点は枚挙にいとまがありません。
まあ中国のAG 600飛行艇の方が性能うえだけどな