18か国の軍艦集結!? 伝説のイギリス国際観艦式 はるばる曳航されてきた軍艦いるってホント?

国際観艦式は、開催国の海軍力の威容を示す場であるとともに国家間の友好の場でもあります。いまから85年前にイギリスで行われた国際観艦式には、当時の新興国フィンランドもできたての戦艦を送ったそう。どんな船だったのでしょうか。

大戦生き抜き、ソ連艦として第二の歩み

 この「ヴァイナモイネン」、イルマリネン級海防戦艦のネームシップである「イルマリネン」に次ぐ2番艦ですが、起工、進水、就役のいずれも本艦のほうが先だったため、ヴァイナモイネン級と称されることもあります。

 フィンランド沿岸での運用をメインに考えられた設計のため、浅海面を行動できるように喫水を浅くして、代わりに船体が幅広に造られています。また、同国沿岸の冬の海況を反映して砕氷能力が付与されているのも特徴のひとつでした。

 主砲は25.4cm連装砲塔2基で、副砲には10.5cm連装両用砲4基を備えていますが、これは基準排水量約3800トンの軍艦としては強力な火力といえるでしょう。

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フィンランドのイルマリネン級海防戦艦(画像:SA-kuva)。

 フィンランドは、イギリスで行われるジョージ6世戴冠記念国際観艦式に、この「ヴァイナモイネン」を送りました。なお、これに際しては興味深いエピソードが知られています。

 それは、外洋航行能力に劣るイルマリネン級海防戦艦を、スウェーデン戦艦「ドロットニング・ヴィクトリア」が曳航してイギリスまで連れて行ったというもの。しかし、近年の研究により、まず渡英したフィンランド艦の名が「イルマリネン」と異なっているほか、スウェーデンとフィンランド両艦の航路も異なっていることなどにより、風聞の可能性が高いと判断されています。

 第2次世界大戦中、1番艦の「イルマリネン」は機雷に接触して沈没しました。しかし2番艦「ヴァイナモイネン」は、ソ連軍に目の敵にされていたものの戦争を生き抜きます。その結果、1947(昭和22)年5月に賠償艦として元敵国のソ連に接収され、「ヴィボルグ」と改名されて同海軍に編入されました。

 その後、老朽化により退役。一時はフィンランドへ返還するという話も持ち上がったものの実現せず、1966(昭和41)年に解体されてその生涯を閉じました。もしかしたら、ジョージ6世戴冠記念国際観艦式に参列したという縁が、本艦の場合は戦争に生き残るという幸運をもたらしたのかもしれません。

 冒頭に記したように、ジョージ6世戴冠記念国際観艦式に世界中からあれだけの主力艦が集結できたのは、まさに大戦前の平和な時代だったからだといえるでしょう。今回の「海上自衛隊創設70周年記念国際観艦式」も、同じように平和の式典になることを期待します。

【了】

【主砲や機関砲のアップも】イルマリネン級海防戦艦のディテールをイッキ見

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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