大災害時“各地からヘリコプター集結”がなかなか難しいワケ 訓練で確認 ドラム缶から給油も
指揮本部立ち上げ、静岡隊が支援
9時30分に東京消防庁の「かもめ」が到着したのを皮切りとして、続々と他都県のヘリコプターが飛来。指揮本部では任務の付与が行われる一方、エプロンではドラム缶から機体への燃料補給が実施され、準備が完了したヘリコプターはそれぞれ災害が発生した地域に向け、飛び立っていきました。なお、指揮本部には静岡県消防防災航空隊が航空指揮支援隊として入り、運用の手助けを行っています。
10時30分ごろには名古屋市消防局の「ひでよし」が到着。実際の災害では消防庁長官から出動の指示を受けて、緊急消防援助隊として展開することもあります。
ヘリコプターによる救助・救出訓練は八景島と城ヶ島の2か所で行われました。八景島では先に到着していた東京消防庁、千葉市消防局、埼玉県防災航空隊の機体が要救助者を長浜公園(横浜市金沢区)まで搬送。城ヶ島では島民や観光客が孤立したため、横浜市消防局、茨城県防災航空隊、名古屋市消防局の機体が向かい、こちらでは人工透析が必要な被災者から優先的に救出しています。なお、救助するさいは、いずれも着陸せずホイストを使用した救助を実施していました。
また、横浜市消防局の「はまちどり2」と東京消防庁の「かもめ」に搭載されているカメラを使用し、ヘリテレによる災害現場の情報収集も試みられています。
高橋航空科長は「今回の訓練の大きな目的は、神奈川県・横浜市が被災したときに、航空指揮本部として必要な航空隊の受け入れや任務の付与など運営面での能力向上。そうした意味では目的をほぼ達成できた」と評価しています。
これだけ多くの機体を受け入れる訓練は非常に珍しく、「2~3年に1度行われるくらい」だそうです。一方で緊急消防援助隊として神奈川県外へ出動することもあるため、他都道府県から訓練参加の誘いがあった場合は「応援をする訓練と捉え、救助では何が必要なのか、どれだけの荷物を積んだらよいのかといったことを検証しながら行っている」と話しました。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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