「60年前の路線バス」今とどう違う? 丸いボディ 高い床 ロングシート…バスの“進化”実感

60年前のバスは「三方シート」

 座席配列を見てみましょう。三菱MR430が登場した当時、路線バスの座席配列は横向きのシート配列が多く、最後部の前向きシートと合わせて「三方シート」と呼ばれていたといいます。ホイールハウスの高さが座面の高さを超えない限り、座席を多く設置することができるメリットがある一方で、景色が見にくいというデメリットもあり、どちらかといえば大都市圏路線や生活路線向きの座席配列でした。

 これに対して、三菱エアロスターノンステップの座席配列は、優先座席を含めすべての座席が前向きとなっています。一時期、優先席で横向き座席を採用していたこともありましたが、利用する高齢者の転倒事故防止やノンステップエリアの立席定員の確保、さらには国土交通省が2015(平成27)年に実施した「標準仕様ノンステップバス認定要領の一部改正」などにより、現在の新型路線バスはほぼすべての座席が前向きとなっています。そして、座席数も通路幅の拡大や前輪タイヤハウス上の座席の廃止などの理由で、路線バスの座席数は減少傾向にあるといえましょう。

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三菱エアロスターノンステップの車内、すべての座席が前向きとなっている(須田浩司撮影)。

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 このほかにも、前面上部3連ランプの有無や、前面の庇(ひさし)の有無、車内の床の違いなど、路線バス車両60年の「あゆみ」「進化」というものをいたる箇所で見ることができましたが、ひとことでいうと「誰もが乗りやすい路線バスをめざしての60年間」といえましょう。

 その「あゆみ」「進化」をじかに感じ取ることができるイベント「バリアフリー車両比較体験・三菱製3軸バス『MR430』撮影会」が、2022年11月13日(日)に午前と午後の2回に分けて開催されます。三菱MR430のほか、平成初期のツーステップバス、初期型のノンステップバス、そして現行型ノンステップバスの4台を撮影、比較体験、走行乗車体験ができる内容で、参加費は11000円となっています。興味がある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

【了】

【ロングシートが懐かしい!!】現代に蘇った60年前のバスを徹底チェック(写真)

Writer: 須田浩司

自称「高速バスアドバイザー」。運行管理者資格所有。高速バス乗車1100回以上。 紙原稿・ネット原稿・同人誌・ブログなどを通じてバス・鉄道を中心とした 「乗りもの旅」の素晴らしさを伝える活動を行う。北海道在住。

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コメント

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3件のコメント

  1. 懐かしいです、丸いテールのバス。大好きでした。

  2. 庇(ひさし)カッコいい

  3. 座席数が減少傾向なのに「進化」と呼ぶのは違和感がある