突然滑走路を“蛇行”し離陸するエアバスの旅客機…なぜ? 摩訶不思議な「性能試験」の内容とは
にしてもすっごい挙動…!
名は「VMCG」テスト
ヨーロッパの航空機メーカー、エアバスが一本の動画を公式SNSやYouTubeなどに掲載しています。ここでは、地上を滑走するエアバスの旅客機が、左右に蛇行しながら走行する様子が紹介されています。もちろんこれはれっきとした”性能試験”。どのようなテストをしているのでしょうか。
エアバスはこのテストを「VMCG(ミニマム・コントロール・スピード・オン・グラウンド)」と紹介しています。地上滑走中に片方のエンジンが停止した場合、翼の動きのみでコントロールできる最小スピードをチェックするテストです。
このテストでは飛行機を加速させながら、エンジンを片方停止。左右のエンジンパワーが異なることから機首が横方向に向くなか、パイロットはステアリング操作を使用せず、足元にあるペダルを通じて尾翼の「ラダー」と呼ばれる動翼を動かし、機首の向きをコントロールします。本来走行していたルートからの逸脱距離は最大で30ft(約9.1m)までとされ、この範囲に走行ルートのズレを抑えながら、ラダーペダルを踏みこんで本来のルート(滑走路の中心線)に戻します。
「VMCG」速度は航空機を安全にオペレーションする観点にとっても重要な指標なひとつで、エアバスによると、この「VMCG」テストは「あらゆる飛行試験において重要なもののひとつだ」としています。
【了】
記事中では「パイロットはステアリング操作を使用せず」と書かれているが、元になったエアバスの動画では明確に「ラダーとノーズホイールステアリングを利用して」「これらは両方ともペダルを通じて操作される」と言っている。