「長門」型戦艦は大改装後も世界最強だった? スペックでは米英の次世代艦に勝る部分も
米英の新型艦にも引けを取らない性能を維持
長門型の改装は1935(昭和10)年に終了しました。改装後の長門型は、機関部の舷側/水平装甲は薄かったものの、攻撃力と弾火薬庫部の防御が飛躍的に向上しており、イギリスのネルソン級戦艦を上回り「世界最強の戦艦」になったと筆者(安藤昌季:乗りものライター)は考えます。
また1936(昭和11)年には、ワシントンとロンドンの両海軍軍縮条約が失効したことに伴い、日米英仏伊独の各国は新しい戦艦の建造に着手し始めます。その結果、1940(昭和15)年に就役したイギリスのキングジョージV世級を皮切りに、続々と次世代戦艦が姿を現し始めました。
ただ、これら各国の新型戦艦は長門型を速力では上回っていたものの、長門型が持つ41cm砲が通じないほどの防御力は備えておらず、むしろ弾火薬庫と砲塔防御では長門型がやや上回っていました。
このため、確実に長門型の砲撃戦能力を上回る戦艦は、1941(昭和16)年に就役した大和型戦艦まで登場しませんでした。ゆえに長門型2隻は、超重量砲弾(SHS)を装備した、アメリカ戦艦と比較した場合でも「機関部防御で劣る長門型がやや不利ながら、概ね対抗可能」な能力を有しており「最強の旧式戦艦」の一角を占めていたといえるでしょう。
なお、建造時ライバルだった、アメリカのコロラド級戦艦は、太平洋戦争初戦のハワイ・真珠湾攻撃で大被害を受けた「ウェストバージニア」が、艦容を一変させる大改装をしています。弾火薬庫が76mm増厚されて165mmに、機関部も140mmに増厚され、砲塔天蓋も178~190mmに強化された「ウェストバージニア」は、新型のサウスダコタ級戦艦に匹敵する攻防力を備えていました。高性能レーダーも搭載され、その性能は改装後の長門型でも容易ならざる敵だったようです。
改装後の長門型戦艦2隻は1935~1940(昭和10~15)年にかけて、確実に「世界最強」の戦艦だったといえます。各国の新型戦艦が就役した後では、世界最強とは言い難いレベルになったものの「砲戦で確実に長門型を打倒できる」艦型は登場しなかったため、それらが出そろった後も、戦艦としては世界的に見ても有力だったと評価できるのではないでしょうか。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
「長門型」戦艦
「陸奥」は広島県と愛媛県の堺辺りに停泊中
突如大爆発を起こして沈没!!
未だに原因がわからず
長門は戦争を生き残るとアメ力に摂取され
ビキニ環礁ての核実験の被害検証に使われた
そして核爆発で暫くは浮かんでたが
やがて沈没(泣)