デコトラにあらず! 新たなドレスアップ「ユーロ・スタイル」とは? 運送会社「イメージ変えたい」

自己満だけじゃない「人材確保」と「広報効果」も

 なぜユーロ・スタイルのオーナーたちは、そこまでしてこのようなトラックを作り乗っているのでしょうか。

 あるオーナーにハナシを聞いたところ、やはり一番の理由は自身がトラック好きだからというものでした。そして、次に挙げていたのは、意外にも「人材確保」と「広報効果」という企業ならではの理由でした。スカニアやボルボのトラックはドライバーから見ても魅力的でブランドイメージも高いため、それに乗れるというのはある種の憧れになっているそうです。

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夜の会場で電飾を点灯したトラック。ライトだけでなく、ロゴやバー・パーツが光っているのにも注目(布留川 司撮影)。

 イベントを主催した「ヨシノ自動車」でトラックのカスタム部門「ファストエレファント」のディレクターを務め、今回のイベントでは運営の中心のひとりとして活動していた中渡瀬アルフレッド氏は次のように話してくれました。

「トラックというのは仕事で使うのが一番の目的です。ですが、ここに展示されたようなカッコいいトラックは、いろいろな意味でモチベーションを高めてくれます。運転するドライバーさんがトラックに愛着を持ってくれれば、それは安全運転に繋がり、最終的には会社全体の業務改善にも繋がります。加えて、トラック自体が注目されるので広報効果もあり、若いドライバーや現役ドライバーの目標にもなっているといえるでしょう。このイベントを展示会ではなく、ドライバーも参加して交流できる“フェス”というスタイルで実施しているのは、そんなカッコいいトラックが集まり、ドライバーや参加者がモチベーションを高め合って業界を盛り上げて欲しいという思いからです」。

 トラックドライバーは、地味な仕事内容や長時間労働などのネガティブなイメージが強く広まってしまったからか、少子高齢化の進む昨今、人材確保にきわめて苦労しています。実際には、新しい技術の採用や法規制の変更などによって労働環境の改善は進んでいるものの、一度付いてしまった悪い印象は中々拭うことはできません。

 ユーロ・スタイルのトラックはそんな業界のイメージを改善し、次代を担う青少年がトラックドライバーに関心を持つ、その入り口となる重要な存在だと、今回のイベントを取材して筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)は実感しました。

【了】

【写真】キャブ裏側にも注目! いろんな「ユーロ・スタイル」トラックをイッキ見

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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