この戦闘機なに!? ジャカルタに現れた謎の機体i-22 国の威信かけた“ハッタリ”か
なんでこんなの作ったの?
インドネシアはエネルギー資源や農作物を主産業とする国家から、工業を主産業とする国家脱皮を図っており、防衛産業を重工業基盤構築のけん引役としたいと考えているようです。
同国軍の国産防衛装備品の比率はまだ高くはありませんが、陸軍の装備品では、トルコと共同開発した中戦車「ハリマウ」の導入計画が進められており、またトルコなど諸外国からの技術支援を受けて開発した軽装甲車などは実戦配備されています。
海軍の艦艇も韓国のチャンポゴ級通常動力攻撃型潜水艦を国産化したナーガパーサ級の国内建造に成功しており、国内で建造された艦艇の配備も進んでいます。
その一方で空軍と海軍の固定翼航空機に関しては、それほど国産化が進んでいません。スペインの航空機メーカーのCASA(現エアバス・ディフェンス&スペース)が開発したC-295戦術輸送機とC-212小型輸送機のライセンス生産機、CASAとインドネシアの航空機メーカーIPTNが共同開発したC-235戦術輸送機とその派生型が配備されるにとどまっています。
つまりi-22は、自国でも戦闘機を開発できることを示し、インドネシア国民に対して「喝を入れる」ためのコンセプトというわけです。現時点ではそれ以上のものもそれ以下のものでもありません。
しかし、国ではなく民間企業が実用化の予定の無い戦闘機のコンセプトをまとめあげ、実大モックアップを製造し、それを国家的なイベントである「インドゥ・ディフェンス2022」に出展するあたりに、近年目覚ましい経済成長を遂げているインドネシアという国家の勢いと、同国国民の航空産業に対する大きな期待を筆者は感じさせられました。
【了】
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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