「ホンダジェット」成功の秘密は異形ルックスにあり? 「翼の上にエンジン」どんな利点でナゼ?
自動車メーカーとして有名なホンダが手掛けた民間機「ホンダジェット」は、現在ヒット機として快進撃を続けています。ここに至るまで、どのような経緯を辿ったのでしょうか。
2003年12月3日初飛行
ホンダの航空機事業子会社である米国ホンダ・エアクラフト・カンパニー(HACI)が手掛ける飛行機「HondaJet(ホンダジェット)」シリーズは、発売以来堅調な売れ行きを記録しており、「日本発の民間飛行機」では歴史的な快進撃を続けています。ただ、その初飛行からはすでに19年が経過しています。2003年12月3日、ノースカロライナ州にあるピードモント・トライアド空港でのことでした。
ホンダジェットは、個人が飛行機で移動する際などに使用する、いわゆる「ビジネス・ジェット」です。機内寸法は高さも幅も約1.5mで、乗員乗客あわせて8名が搭乗できます。また、内装の変更が可能で、“空飛ぶ仕事部屋”などとしても利用できます。機体の全長は約13m、翼幅が翼端のウィングレットを含めて約12mです。
そして、この機は、エンジンの配置に最も大きな特徴を有しています。主翼下や胴体後部にエンジンを設置するのが一般的であるなか、「ホンダジェット」では主翼の上面に、左右1基ずつのエンジンを装備しているのです。
このエンジン配置によって、胴体の高さを低くできることから、乗客の乗り降りも容易に。エンジンを尾部に配置するよりも騒音や振動を軽減できるほか、胴体の位置が下がるため、特殊な工具などが不要になるなど、整備面でも多くの利点があります。ちなみに、胴体のドアをそのままステップとして利用できる仕様となっています。独特なエンジン配置によるこうしたメリットも、ヒットの一因でしょう。
一方で、このエンジン配置はデメリットもあります。たとえば、主翼上面の気流が乱されることで飛行機が飛ぶために必要な「空気合力」が減少するといったもの。ホンダジェットでは、そういった課題を解決すべく何度も検証を重ね、エンジンと翼を接続しているパーツ「パイロン」を外側に設置するなどの工夫を凝らしています。
コメント