「スピード落とせ」じゃ効かぬ 運転者に不快感与える物理対策 “こぶ”を改良して“起伏”に
騒音と振動が発生するバンプ
最初は速度を強制的に抑えることのみを目的とし、道路に凹凸を連続させた「バンプ」が、曲がりくねった下り坂や交差点、横断歩道の前に設置されました。東京では例えば、首都高のレインボーブリッジの末端などで、路面に赤いカラー舗装で縞模様が見られますが、これが「バンプ」です。駐車場などではもっと起伏のあるバンプもあり、速度の抑制を第一に考えた構造といえます。
バンプでは車体が小刻みに上下するため、運転者は速度を控えるのですが、クルマが通過する際にガタガタと騒音や振動が生じることが問題でした。人口の少ない地域や、他にも騒音、振動が近くで生じているような場所なら問題ありませんが、住宅街の生活道路でクルマが通過するたびに騒音や振動が発生すると、交通安全とは別の問題が生じてきます。
そこで、減速の目的を果たしながら騒音、振動も抑えるために、比較的ゆるい傾斜のついた起伏であるハンプの形状が、国土交通省等の研究により編み出されたのです。現在のような形状となったハンプは、2017年頃から一部の地域で試験運用が行われ、30km/h以下への抑制と振動、騒音問題をクリアしたことからゾーン30プラスの物理デバイスにも加えられることとなりました。
また、ハンプの平面部分に横断歩道を設置した「スムーズ横断歩道」という物理デバイスもゾーン30プラスにはあります。クルマはハンプ手前から速度を抑えるので、横断歩行者がいる場合の一時停止違反などを防ぐ効果も期待できるでしょう。
ただし、ハンプやスムーズ横断歩道は試験的に運用されたあと、撤去されているケースも多く見られます。クルマの通過による変形や摩耗に耐え、ハンプを設置・維持するには、相応のコストがかかるからでしょう。
またハンプでも、クルマが通過した際の騒音、振動はゼロではありません。ハンプの構造や運用方法を定めた国土交通省も「住民の理解を得た上での設置が望ましい」としており、そのような点からも多くの道路で一斉に設置されるということにはなりにくいようです。
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Writer: 小林祐史(ライター、カメラマン)
プラモデル雑誌の編集部から独立し、フリーランスライター、カメラマンに。バイク、車関連はモータースポーツからスタートしたが、近年は交通安全や道路事情等も取材。ドローン操縦にも挑戦中です。
このバンプが振動の発生源となって近隣住民を振動公害で却って悩ませてしまうといったデメリットは心配ないのでしょうか
>このバンプが振動の発生源となって近隣住民を振動公害で却って悩ませてしまうといったデメリットは心配ないのでしょうか
10t以上の大型車が何台も通る幹線道路ならともかく、せいぜい1~2tの乗用車が生活道路を通ったところで振動公害は考えにくいですね。
場所は?だったが女のコ幼児が横断歩道を渡って居るだまし絵を採用したところが有った 私には日中限定だが良いかなと想い考えました。