ウクライナ産「先進的すぎた輸送機」の顛末 驚愕スタイルのエンジン、実は高スペック?

アントノフ設計局が手掛けた輸送機「An-70」は、斬新な方式のエンジン「プロップ・ファン」を搭載し初めて飛んだユニークな輸送機です。どのような機体で、そのメリットは何だったのでしょうか。

「斬新エンジンの新型輸送機」An-70、どうなったの?

 An-70のベースモデルとなった軍用輸送機An-12は1000機以上が製造されたヒット機です。旧ソ連では、An-12の後継機の開発をアントノフ設計局に依頼しました。なお、同じクラスの軍用輸送機として、ターボ・ファン・エンジンを搭載したIl-76がありましたが、革新的でメリットも多い、プロップ・ファンを搭載する将来性を踏まえて、An-70を開発することにしたようです。

開発は1970年代中盤から始められ、1980年代にはソ連軍からの要望に対応して、300人の落下傘兵が搭乗でき、舗装されていない飛行場でも運用できる機体を目指して、開発が進められ、1989年に契約が成立しました。

 ただ、ちょうど試作1号機の開発を進めている1991年にソビエト連邦が崩壊。An-70の開発は、ウクライナが国営企業を設立して継続し、初飛行にこぎつけました。ただ、その4年後、4回目の試験飛行の際、An-70は随伴機のAn-72と接触し、墜落してしまいます。

そこで、機体の強度を計測するために製作していた静試験用機を、試作2号機として飛行試験に使用することとし、1997年4月24日に初飛行。実用化にむけて準備が進められました。

 公式に情報があるAn-70は、この1機のみです。当初ロシア軍とウクライナ軍では、An-70を大量に上発注する計画で開発を進めていましたが、現在にいたるまで量産化はなかなか進んでいません。

 また、同型機のキモともいえる「プロップ・ファン・エンジン」も現在のところ広く普及していません。特有の空気を切り裂く音や振動などがあり、快適性や騒音問題などでウィークポイントがあったのです。また、エンジンのスタイルが斬新すぎて、やはり長年の歴史から安定感のある「ターボ・ファン」「ターボ・プロップ」が好まれたのも一因かもしれません。

 なお、現在ロシアとウクライナは軍事対立の真っ只中。An-70のプロップ・ファンはソ連・ロシア製であるため、この機の量産はますます遠のいてしまったといえるでしょう。

【了】

【写真】凄い形! An-70の「花びらみたいなプロペラ」ドアップで

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