「ここトンネルだったっけ?」必至 山陽道の本線に“山”作る 究極の地すべり対策が必要なワケ

山を山で止める!?

 今回の盛土は、崩れてこようとする山を押さえる「押え盛土」と呼ばれるもの。NEXCO西日本関係者は「“山”で“山”を止める」と話します。

 三木JCT~神戸西IC間は建設当時から、切土のり面に変状が発生し、地すべり対策工を実施して開通したといいます。しかし、その後も「変状が止まらない状況」だそうです。

 これまでも変状の発生の都度、補強対策を実施しており、斜面に杭を打って地すべりを防止するグラウンドアンカーは約540本、地すべり抑止杭は約110本もうち込まれています。それでも変状は収まらず、のり面の小段のコンクリートが浮き上がったり、アンカーが破断したりしているとのこと。実際2018年7月の西日本豪雨では、真っ先に事前通行規制を開始し、その後に土砂災害が起こっています。

 地下水や降雨の影響により、地山の強度が低下しており、今後もさらに地すべりが進行すると想定されるため、抜本的な対策を検討。その結果が「“山”で“山”を止める」という工法だそうです。

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地すべり抑止杭の施工。こうした対策をもってしても変動が止まらない(画像:NEXCO西日本)。

 近年は豪雨被害が激甚化し、高速道路ののり面が崩れる事態も多発していますが、「ここ(三木JCT~神戸西IC)は特殊」と関係者は口を揃えました。もともと神戸層群という断層に位置し、地層が斜面と同一方向に流れる「流れ盤」など、地すべりを起こしやすい地質が分布しているそうです。

 とはいえ、NEXCO3社のなかでも西日本管内は台風が通過するケースも多く、大雨の影響でしばしば通行止めなどが発生しています。構造物の老朽化だけでなく、それが構築されている地山といった“自然”の変化への対応も、今後さらに表面化していく可能性があります。

【了】

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