超古典的な「気球でスパイ」現代でも本当にイケた…? 「中国気球事件」、なぜ米国は今撃墜したのか
今回の「中国スパイ気球」事件、ひとつの仮説とは
米国内でどの地域を飛んだか継続して観察することで、中国がなにを観察したいかを知ることができます。ミサイル基地の上空などを飛んでいれば、その関連施設を重点的に偵察している――といった具合にです。気球が古典的な手口なら、手口を絶え間なく、いわゆる定点監視するのも、諜報戦の古くからのセオリーです。
もちろん、泳がせておくことで中国も情報は得ることはできますが、米国にとってもあらかじめ到来をキャッチできているのであれば、本当に秘匿すべきものを隠しておき“逆偵察”することは可能でしょう。
米国は2001年の同時多発テロ発生時、直ちに全土の空港を閉鎖しました。それほど本来この国は、防空態勢に敏感なのです。この先例も重ねると、 “逆偵察”説は有力視できるもののひとつです。今回この対応を余儀なくされたのは、目撃者と共にTVニュースなどで大きく報じられてしまったためであるとみることもできそうです。
現在両国は緊張感のある牽制をしあっていますが、先述の前提が正しければ、筆者は今回の事件は、早期に幕引きが図られると見ています。
中国は諜報活動の実態をこれ以上明らかにされるのは好まないでしょうし、一方、米国も野党の追及を長引かせ、これまでの実態を明らかにしたくないと考えるでしょう。――となると、お互いに“手の内をさらす”前に終結させたいと、早めに手を打つのではと予測できるのです。
さて、かつて目撃例もあった日本では、他人事と思わず、新たな対応方法を模索する必要性がありそうです。
中国が「スパイ気球」を日本へ飛ばす可能性は、今後も十分に考えられます。できれば、何を探っているのか監視するのがもっとも有効ですが、米国で見つかった気球は重さが1tを超えるとも。国土の狭い日本であると、地上に落下した場合の被害も予想されるところです。そうなると、こういった活動には、毅然とした対応を示す必要もあるでしょう。
今回の事件は、日本にも、安全保障体制をより確かに築くべき現状を教えたと言えます。
【了】
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