夢の珍コンセプト!しかも性能も悪くない! 露「Tu-334」旅客機はなぜ大敗を喫したのか
キモの「プロップファン・エンジン」、どんなもの?
将来的にTu-334に搭載される予定だった「プロップファン・エンジン」は、現代のプロペラ旅客機で一般的な「ターボプロップ・エンジン」の発展型で、同軸でつながった二重のプロペラが、相互に逆方向にまわる「二重反転プロペラ」を備えたデザインが特徴です。ターボプロップ(プロペラ旅客機)より高速飛行が可能で、ターボ・ファン(ジェット旅客機)より燃費効率が良い「いいとこ取りのエンジン」として、一時期旅客機にも採用すべく研究が進んでいました。
初期タイプ、つまり一般的なジェット旅客機のスタイルをもつ「Tu-334」は、ソ連崩壊などの影響をうけ、開発まで10年以上の時間を要したものの、初飛行に成功。飛行時間は約30分だったものの、乗員からは、機体の安定性や離着陸特性の面で高い評価を得ていたと記録されています。
その後Tu-334は、ロシアの型式証明を2003年に取得しました。当時は同機は7社から確定注文を経ており、一時は、約100の航空会社が同機の導入を検討していたとされています。そうようななか、ロシアの航空機メーカーに大きな転換点が訪れます。
ロシアでは、航空機メーカーが結集し「統一航空機製造」として作られた旅客機「スホーイ・スーパージェット100」が、本格的な実用化にむけ進められました。「スホーイ・スーパージェット100」はちょうどキャパシティやスペックがTu-334と競合するものでした。そうして2009年、Tu-334のプロジェクト自体がとん挫してしまったのです。製造された2機はターボファン版で、ついに、プロップファン搭載版の実機が作られることはありませんでした。
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