温泉施設は“駅予定地”、裏の遊歩道は“鉄道” 未成の「岩日線」今やドライバーのオアシスに
島根県西部への移動は、現在では高速バス&空路
そして現在、益田から六日市を経由して広島方面へ向かう“陰陽連絡”の役割は、高速バス「広益線(清流ライン高津川号)」に引き継がれています。このバスは山陽側の終着点を岩国ではなく広島に設定したこともあり、岩日線に沿って運行していたバスは大半の区間が廃止となっています。
また山陽新幹線 新岩国駅の近くに岩日線の駅(御庄駅。現在の「清流新岩国駅」)があったことから、新幹線との接続による首都圏・近畿圏との連絡を期待する声もありました。しかし当の御庄駅の設備が「新幹線の最寄り駅」としては程遠い機能しか持っておらず、いまだ新幹線駅とは別扱いのままです。
一方、1993(平成5)年には益田市郊外に「石見空港」が開港。発着便は1日2本と少ないものの、現在では益田市と首都圏(羽田空港)、近畿圏(伊丹空港。シーズン限定)は空路で直接つながっています。
なお石見空港は、空いた土地で養蜂業を営む国内唯一の空港としてその名を知られ、売店で販売されている「石見空港はちみつ」はすぐに品切れになるほどの人気。空路で益田入りしたなら、岩日線の名残を見にいく前に、はちみつがたっぷりかかった「ホットケーキセット~空港はちみつ添え」をいただくのも良いでしょう。
【了】
Writer: 宮武和多哉(旅行・乗り物ライター)
香川県出身。鉄道・バス・駅弁など観察対象は多岐にわたり、レンタサイクルなどの二次交通や徒歩で街をまわって交通事情を探る。路線バスで日本縦断経験あり、通算1600系統に乗車、駅弁は2000食強を実食。ご当地料理を家庭に取り入れる「再現料理人」としてテレビ番組で国民的アイドルに料理を提供したことも。著書「全国“オンリーワン”路線バスの旅」など。
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