「みどり」「しおじ」…在来線ホームに謎の暗号? 徳山駅に残る新幹線開業前の痕跡

徳山駅の在来線ホームには「みどり」「しおじ」など、何のために記されているのかよく分からない文字列があります。山陽本線がたどってきた歴史の痕跡といえるものですが、そう遠くないうちに消えてしまいそうです。

黒ずんで判読が難しくなった文字も

 山口県の南東部に位置し、山陽新幹線と山陽本線、岩徳線の列車が乗り入れている徳山駅(山口県周南市)。2019年7月、在来線(山陽本線上り)の列車が発着する1番線のホームに降りると、ホームの線路側に「暗号」のような文字列が記されてました。

Large 20190718 01
徳山駅のホームには「みどり」「しおじ」など往年の特急や急行の停車位置案内(右下)が残る(2019年7月、草町義和撮影)。

「みし」「どお」「りじ」。最初は何のことだか分かりませんでしたが、「みどり」「しおじ」と縦読みして、ようやく理解できました。これはかつて、山陽本線を走っていた列車の名前。各列車のドアが停車する位置を客に案内するための表示だったのです。

 山陽本線はかつて、東京や大阪、岡山方面と下関、九州方面を結ぶ在来線の特急や急行が多数走っていました。山陽新幹線が新大阪~岡山間のみ営業していたときの『国鉄監修 交通公社の時刻表』1974年10月号によると、「みどり」は大阪~大分・宮崎間を結ぶ特急。「しおじ」は新大阪・大阪~広島・下関間を結んでいた特急でした。いまの「みどり」は九州内の博多~佐世保間を結ぶ特急ですが、40年以上前は本州も走っていました。

「みどり」「しおじ」のほかにも、1番線のホームには特急「つばめ」「はと」や寝台特急「さくら」「みずほ」「あさかぜ」「なは」「月光」、急行「つくし」「音戸」などの案内が残っており、3・4番線のホームの3番線側にも「長州」「ながと」の表示を見つけることができました。

 しかし、1975(昭和50)年に山陽新幹線が博多まで全通。徳山駅にも山陽新幹線の列車が停車するようになりました。このため、山陽本線を走っていた特急や急行の多くは廃止。残った一部の寝台特急や夜行の急行も夜行列車の衰退に伴い徐々に廃止されました。徳山駅の在来線ホームに停車するのは現在、列車名のない普通列車だけです(臨時列車を除く)。

 ほとんどの列車が廃止から40年以上経過しており、徳山駅のホームに書かれた列車名も黒ずんで判別しにくくなっていました。徳山駅の歴史を体現している文字列は、いずれ完全に消えてなくなるかもしれません。

【了】

【写真】在来線ホームに残る昔懐かしい「列車名」

Writer:

鉄道誌の編集やウェブサイト制作業を経て鉄道ライターに。2020年から鉄道ニュースサイト『鉄道プレスネット』所属記者。おもな研究分野は廃線や未成線、鉄道新線の建設や路線計画。鉄道誌『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)などに寄稿。おもな著書に『鉄道計画は変わる。』(交通新聞社)など。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  2. 海自の潜水艦が発射した魚雷が「揚陸艦へ突進」 雷跡を上空から捉えた珍しい写真が公開される
  3. ロシア海軍の潜水艦に「異変」! 衛星画像の分析で明らかに 船体に“巨大な傘”を設置か イギリス国防省が指摘
  4. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  5. 片山さつき大臣「実態調査はじめます」 街のクルマ屋の「保険代理店打ち切り」問題に新局面 ビッグモーター事件の余波に再び切り込む!
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  3. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  4. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  5. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由