MotoGPの“忌み番”?「ゼッケン1」が11年ぶりに復活 栄光のナンバーのはずがなぜ避けられる

意外な理由でゼッケンを変更したライダーたち

 では、なぜライダーは、その個性を表すためのアイコンとして定着したゼッケンを、途中で変更するケースがあるのでしょうか。ちょっと変わった例とともに紹介します。

 ホルヘ・ロレンソは2008年まで「ゼッケン48」をつけていました。これを選んだ理由は、ロレンソの個人マネージャーが元ライダーで、現役当時にこのゼッケンを好んでつけていたからです。しかしロレンソは2008年シーズン終了後にマネージャーを解任すると、2009年からはインターネットでのファン投票を参考にして選んだ「ゼッケン99」に変更し、引退する2019年までそれを通しました。マネージャーとの間にどんな確執があったのかは明らかになっていません。

 また、2008年と2009年のダニ・ペドロサ(ホンダ)の例も挙げておきましょう。ペドロサは「ゼッケン26」でモトGPにデビューし、そのデビューから2年目のシーズンである2007年には早くもランキング2位を獲得します。そして3年目のシーズンである2008年は、次こそはチャンピオンという決意を込めて「ゼッケン2」に変更しました。しかし残念ながら怪我や不運もありランキングは3位に後退していまいました。

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モトGPで7回のチャンピオンを獲得したバレンティーノ・ロッシは引退するまでゼッケンは46だった(小林祐史撮影)。

 その悔しさを翌シーズンの糧とするために、2009年は「ゼッケン3」に変更します。ところが、前年以上に怪我や不運で、ランキングは3位のまま。ここでゼッケンを変える願掛けを諦めたペドロサは、ゼッケンを従来の「26」に戻します。ペドロサは引退する2018年までそのゼッケンで通しましたが、引退までにチャンピオンを獲得することはついにできませんでした。もし、諦めずにゼッケン変更を繰り返していたら、違った結末になったのかも……ちょっと意地の悪い想像ですが、レースに禁物の「たられば」で異なる結果を夢想してみたくなるエピソードです。

【了】

【MotoGP】チャンピオンたちと「ゼッケン」関連性はあるの?(写真でチェック)

Writer: 小林祐史(ライター、カメラマン)

プラモデル雑誌の編集部から独立し、フリーランスライター、カメラマンに。バイク、車関連はモータースポーツからスタートしたが、近年は交通安全や道路事情等も取材。ドローン操縦にも挑戦中です。

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