「左から火花が」 日暮里・舎人ライナーなぜ脱輪? JTSBが勧告&事故報告書を公表

震度5強の地震に見舞われたわけですが…。

地震発生から停車までは30秒

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舎人公園駅付近を行く日暮里・舎人ライナー(画像:写真AC)

 2021年10月7日(木)夜に発生した強い地震の影響で、日暮里・舎人ライナーは舎人公園駅(東京都足立区)を出発した直後に脱輪。3日間の運休を経て運転を再開しましたが、乗客8人が負傷する事故となりました。

 2023年2月16日(木)、運輸安全委員会が鉄道事故調査報告書を公表。これによると、車輪が案内軌条と呼ばれる、壁から突出した設備に乗り上げ、結果 脱輪につながったとされました。具体的に見てみます。

 そもそも日暮里・舎人ライナーは案内軌条式と呼ばれる鉄道で、走行路面の壁にある案内軌条に車体を制御する車輪(案内輪)をあてながら、車体下部にあるゴムタイヤで走行します。なお自動運転のため、乗務員はいません。

 ところが揺れにより、1両目の案内輪直下にある分岐輪(フックの役割を持つ)が案内軌条に乗り上げてしまい、案内軌条は破壊、脱落。走行位置を制御できなくなった車体が走行路を右寄りに進んだため、今度は反対側(車体左側)の分岐輪が案内軌条から逸脱、フックの役割を果たさなくなりました。結果、右側のゴムタイヤが走行路から脱輪。車体は進行方向右側へ傾き停車したのです。

 乗客の証言では脱輪時、「車両の左側の電車線付近から火花が散った」「『バチバチバチ』という音がした」といったものが聞かれました。ただし、地震発生から列車が停止するまでは30秒であり、早期地震警報システムは発生から約15秒後に、その5秒後には非常ブレーキがそれぞれ動作しています。

 日暮里・舎人ライナーを運行する東京都交通局は、「報告書の内容を真摯に受け止め、再発防止策の徹底を図り、お客様により一層安心してご利用いただけるよう努めてまいります」としています。

 なお事故後、同局は「早期地震警報システム動作時の、一斉非常列車停止操作の自動化」および「分岐部の走行路中央部の段差解消」を実施しています。これに加え運輸安全委員会は、「乗客の安全確保を最優先とした異常時対応の整理」も求めています。

【了】

【つまり…】図で解説「脱輪に至った経緯」

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