年齢がバレる!? クルマの速度警告音「キンコン♪」が消えたワケ 妙に懐かしくなる音の正体

昔のクルマには、一定の高速度域に入ると、「キンコン、キンコン……」というチャイム音が流れていました。いつの間にか聞かなくなりましたが、あの音はなぜ鳴り、いつ消えたのでしょうか。

「速度出しすぎ」を警告する装置

 昔のクルマには、一定の高速度域に入ると、ダッシュボードあたりから「キンコン、キンコン……」というチャイム音が流れていました。いつの間にか聞かなくなりましたが、あの音はなぜ鳴り、いつ消えたのでしょうか。

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スピードメーターのイメージ(画像:写真AC)。

 この「キンコン」の正式名称は「速度警報装置」。道路運送車両法に基づく「道路運送車両の保安基準」に設置義務が明記されており、どの車も鳴るようになっていました。

 音が鳴るのは軽自動車で80km/h以上、普通自動車で100km/h以上となっていました。もともと「保安基準」には「速度メーターの100km/h以上の部分を黄色か赤に塗らなければならない」という規定があり、そこへさらに警報装置も追加されることとなったのです。

 この速度警報装置の規定が追加されたのは、1975(昭和50)年。そのころ日本では、自動車の急速な普及とともに交通事故死者も急増し、「交通戦争」と呼ばれていました。その5年前に死者数はピークとなる1万6765人にも達し、いよいよ行政が本腰を入れて交通安全に取り組まなければならない状況でした。そんな中で警報装置も規定に組み込まれたのです。

 規定内では「運転者席の運転者にブザその他の装置により警報するもの」という文言でした。「ブザ」そのものは「ピー、ピー」といった音ですが、金属を叩いて音を鳴らすほうが実装が簡単だったのか、多くの自動車が「キンコン」と鳴る警報装置を採用していたのです。

 この規定が無くなったのは1986(昭和61)年のことで、それ以降に作られた自動車は警報装置が装備されなくなっていきます。「キンコン」は意外と短命だったのです。

 規定撤廃の理由について日本自動車輸入組合は以前、アメリカ政府からの要請があったとしています。日本へ自動車を輸出する際、この「日本固有の装置」の装備がネックとなっていたようです。

 現在は新東名をはじめ、最高速度が100km/h以上の高速道路区間も増加してきています。クルマも、剛性や足回りの安定性など、安全性能が当時より飛躍的に向上しています。「時代の遺物」となった速度警報装置ですが、特定の世代群には「思い出の音」でもあるのか、GPS機能による速度算出を用いて疑似的に「キンコン」を鳴らすことができるスマホアプリも開発されています。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 地味にすごい話だな。日本人の安全よりアメリカの便利を取ったってことだろ