若者には通じない? 「キセル乗車」の意味とは 100年前には使われていた
「おじさん用語」ではないものの、若者に伝わらなくなっている言葉のひとつに「キセル(乗車)」があるようです。鉄道での不正乗車の意味ですが、なぜこのように呼ばれるようになったのでしょうか。
「両端だけ(お)金」という構造ゆえ
職場の上司とのやり取りで、いわゆる「おじさん用語」が若者には伝わらないといったことが、SNSなどでたびたび話題になります。同様に、かつてはしばしば耳にしていたものの、令和になったいまは通じにくくなっている言葉に「キセル(乗車)」が挙げられます。
「キセル」――これは喫煙具の「煙管(きせる)」を指しており、現代では使っている人を見かけることはほぼありません。転じて「キセル」は鉄道における不正乗車を意味する言葉となるのですが、なぜでしょうか。それは煙管の構造にありました。
煙管は細い棒状で内部が空洞になっており、棒の一端にある「雁首(がんくび)」に刻みたばこを詰めて火をつけ、もう一端の「吸い口」から煙を吸います。両端にある雁首と吸い口には金属が、そのあいだの「羅宇(らう)」と呼ばれる部分には竹など金属以外の素材が使われていましたが、この「金/竹/金」がポイントでした。
前述の通り不正乗車全般を指して「キセル」といわれるものの、もともとは「中間の運賃だけを払わない」ことを指していました。乗車時と降車時の両端だけきっぷ代を払い、そのあいだは無賃というわけです。この「両端だけ(お)金」という構造が、「両端だけ金属製」という煙管に似ているため、「キセル(乗車)」という言葉が生まれました。
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