「金返せ!」鳴り物入りで就役、でも期待ハズレだった空母3選 ジェット機運用できてもトラブル続き
肝心なときに動けなかった「ベインティシンコ・デ・マヨ」
アルゼンチン海軍の空母として、1969年にオランダから購入し、1997年に退役した「ベインティシンコ・デ・マヨ」は、元々は第2次世界大戦中に就役したイギリスのコロッサス級航空母艦の「ヴェネラブル」でした。
それを戦後オランダが購入し、「カレル・ドールマン」と名を変え運用していましたが、1968年4月28日に機関室で火災が発生し、航行できなくなってしまったことから、予定を繰り上げて同艦は退役することになりました。
しかし、これに目を付けたのがアルゼンチン。火災で損傷した動力機関はイギリスで建造途中に破棄された、マジェスティック級航空母艦「レヴァイアサン」のものを流用し、修理すれば問題なく使えるとして購入し、運用することになりました。
「ベインティシンコ・デ・マヨ」と再命名された同艦は、就役後しばらく、旧式のジェット機しか装備できませんでしたが、1972年にはA-4Q「スカイホーク」軽攻撃機を搭載。さらに、1980年から翌年にかけて飛行甲板面積の増加が行われ、フランス製のジェット攻撃機「シュペルエタンダール」の搭載ができるように設備を整えます。
しかし、一新したとはいえ、火災によってダメージを受けていた機関は就役当初から不具合を抱えており、カタログ上の最大速度である24ノット(約44.4km/h)は出なかったといわれています。
1982年4月に始まったフォークランド戦争では、かつての持ち主であるイギリス海軍が保有する軽空母「ハーミーズ」「インヴィンシブル」の2隻と、第2次世界大戦に続き史上2例目の空母対空母の海戦が起こるとの下馬評が多く上がるなか、ここでもオランダ時代に損傷した動力機関が問題となり出撃ができない状態となります。
フォークランド戦争開戦時には、すでに動力機関の不具合と船体そのものの老朽化により、航空機の運用に必要なだけの速力を発揮することができませんでした。空母は発艦の際は、風上に向かって航行し、安全な発艦を助ける揚力を発生させる空気の流れを作る必要がありますが、それが不可能だったからです。
戦争後、この速力の問題をなんとかするために。主機をディーゼルエンジンに換装する計画も立てられましたが、資金の問題で1997年に退役が決定。この退役で空母を失ったアルゼンチン海軍は、前述のブラジル海軍の「サンパウロ」を借りて訓練したこともありました。
※一部修正しました(3/20 12:10)
【了】
Writer: 斎藤雅道(ライター/編集者)
ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。
不愉快極まりないです
かけるべき金をかけなかっただけで、金返せではないな