来るか新型「コリアン・エアフォースワン」今や貴重なジャンボの大統領機 “北朝鮮対策も”
ボーイング737ベースの「韓国空軍2号機」とは?
韓国はかつて長距離飛行が可能なVIP機を持たず、大統領が外遊をする場合は、外国航空会社の機材をチャーターするか、もしくは国際線の定期便に乗って目的地へ向かっていました。ただ、国が成長したことなどで1980年からは国内の航空会社の機材をチャーターするようになり、大韓航空だけでなくアシアナ航空のボーイング747-400が大統領専用機として使用されたこともあります。
しかし北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)との対立が続く中、韓国軍の最高指揮官である大統領と一般乗客が同じ機体に乗っていては、セキュリティ面でさまざまな懸念が生じることから、外遊に使用できる専用機が求められるようになりました。
そこで、1985年から大統領専用機としてボーイング737-300の運用を始めます。同機は、従来のVC-54 (ダグラスC-54)やVC-118(ダグラスDC-6)と比べ、速度も航続距離も格段に向上したものの、経済成長に伴って外交面でも存在感を高めつつあった韓国としては、北米や欧州、中東などへ直接飛んでいくことが可能な長距離機材の導入に踏み切ります。
2008年に発足した李明博(イ・ミョンバク)政権は大型の大統領専用機の導入を決定。大韓航空とボーイング747-400(機体記号HL7465)の長期リース契約を結び、2010年4月から2021年12月まで使用しました。ちなみに、東京で2018年5月に開かれた日中韓サミットで羽田空港に飛来した際には、中国の李克強(リー・コーチアン)首相(当時)が乗って来た中国国際航空のボーイング747-8(機体記号B-2480)と並んだこともありました。
現在、韓国政府が使用しているボーイング747-8のリース契約は2026年に切れます。それ以降、同機を引き続き使用するのか、ボーイング777などの双発機に切り替えるのかは、今のところ決まっていません。一方で「空軍2号機」の737-300に関しては老朽化が進んでいることから、より大型の機体で更新する方針が示されています。
日韓のシャトル外交が再開すれば、韓国の大統領専用機が日本に飛来することも増えるでしょう。それとともに、今や貴重となったボーイング747、通称「ジャンボジェット」のVIP機が見られることも増えて欲しいものです。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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