成田空港「神経細胞みたいな元祖旅客ターミナル」どう誕生? 最初は「同じ形3つ」…でも実現せず その経緯

成田空港は開港時、現第1ターミナルの一つのみで、「ハ」字型の角から突き出した「フィンガー」の先に、円形の乗降施設がある姿をしていました。どのような経緯で現在の形になったのでしょうか。

なぜ「1タミと同じ形状のビルを3つ」とならなかったのか

 民間空港はいずれも旅客・貨物・整備の3エリアが大きな面積を占め、これらがうまく隣接していることが大切とされています。成田空港も、全体の敷地にこれらをどう配置するか、土木関係者が8案は考えたことが分かっています。

 しかし開港時の成田空港は、現在の第1ターミナルとA滑走路などがある「1期地区」のみでオープンせざるを得ませんでした。つまり、西半分(現在の第2・第3ターミナル側)の2期地区にいずれのエリアにも、空港施設の配置ができなかったのです。

 このため2期地区の、今でいう第3ターミナルビル前あたりに予定されていた貨物エリアは、第1ターミナルビルの北側へ移さざるを得なくなりました。

 そのことで先出の子供向け空港読本で3棟描かれていた、ターミナルビルのうち2棟は、1期地区(現代1ターミナルと現貨物地区)での建設が考えられていましたが、貨物エリアを移したことで1棟に。仮に「ハ」の字型から直線型へターミナルビルの設計を変更しようとしても、直線を伸ばせば、貨物エリアに駐機する機体と、サテライトへ向かう機体が接触してしまう危険があります。こうしたこともあり、第1ターミナルビルは「ハ」の字型で45年前の開港を迎えました。

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成田空港の第1ターミナル(乗りものニュース編集部撮影)。

 成田空港ではその後、1992年12月に第2ターミナルビルがオープン。第1ターミナルも2006年6月には大幅にリニューアルされ、延べ床面積が2.4倍になりました。2015年4月にはLCCの台頭を受けて第3ターミナルビルも完成。ただ、時代の流れもあり、いずれも第1ターミナルとは全く違う形状が採用されています。

 現在、成田空港が進めるワンターミナルは、具体的な位置はまだ検討中なものの、今後建設される第3滑走路も含めて、3本の滑走路のほぼ中心となる第2ターミナルの南側が有力な候補地になっているということです。

 世界の空港は、旅客機の乗降に使う「玄関」にとどまらない、ショッピングを楽しんだりくつろいだりする快適性が加えられてきています。新たに生まれる成田空港のワンターミナルは、国内空港としては異例の規模のターミナルビルになるでしょう。そして、現代のトレンドを存分に盛り込むものと見られますので、ぜひこのような機能を実現してほしいものです。

【了】

【航空写真】奇怪なフォルム! 初期の成田空港T1を空から見る

【特集】羽田、成田から下地島まで…全国の空港特集

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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