「さんふらわあ」なぜ“東西統合”へ? それが合理的な理由 2隻体制になったLNG燃料フェリー

国内初LNG燃料フェリーの2番船「さんふらわあ むらさき」が就航しました。LNG燃料フェリーが2隻体制となり、10月には、商船三井フェリーと合併します。なぜいま東西の「さんふらわあ」ブランドを統合させるのでしょうか。

2隻体制になったLNG「さんふらわあ」

 LNG(液化天然ガス)燃料フェリー「さんふらわあ むらさき」(1万7114総トン)が2023年4月14日、大阪南港を出港しデビューを果たしました。これにより商船三井グループの「フェリーさんふらわあ」が運航する大阪~別府航路は、2隻とも、次世代の船舶燃料として普及しつつあるLNG燃料を使用した新造船へと置き換えが完了しました。

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就航した「さんふらわあ むらさき」(深水千翔撮影)。

 フェリーさんふらわあの赤坂光次郎社長は「1921年に大阪商船が別府航路に就航させた『紫丸』を100年の時を経て復活させたLNG燃料フェリーだ」と伝統ある船名をアピールします。

「さんふらわあ むらさき」は、1998年4月に就航した「さんふらわあ こばると」(9245総トン)の代替船として、三菱重工業下関造船所(山口県下関市)で建造されました。2023年1月に就航した同型の「さんふらわあ くれない」と同じく、既存船に比べて大きくなった船型を生かし、レストランや大浴場、スイートフロアの利用客だけが入れるスイートカフェラウンジなど充実した設備を整えています。特に、乗船してすぐ目に入る3フロア吹き抜けのアトリウムと中央に設けられた扇状の大階段は、その迫力から“写真映え”スポットとしても人気です。

 船内には伝統工芸品である別府竹細工など和のイメージを取り入れたデザインを施し、クルーズ船のような丸窓を設置。外に出られる展望デッキが用意されているだけでなく、スイートクラスの客室にはバルコニーが設けられており、まさに「瀬戸内海の女王」として相応しい風格を持っています。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大きく打撃を受けたフェリーさんふらわあの旅客数も2019年比で80%、乗用車については100%まで戻ってきており、明るい兆しが見えています。豪華フェリーとして注目されていた「さんふらわあ くれない」は就航時から多くの乗船客で賑わっており、「さんふらわあ むらさき」も大阪発の初便は約500人が乗船したとのこと。2隻とも旅客定員は716人ですから、新造船として好調な滑り出しであることがわかります。

「大阪と別府は紅丸と紫丸、その後継船を通じて古くから観光面、経済面の強いつながりがある。新造船『くれない/むらさき』を起爆剤として、さらに交流が強化されることを期待している」(赤坂社長)

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